東京都
「障害者芸術活動基盤整備事業」支援センター

アーツサポ東京

概要

アーツサポ東京は、東京都「障害者芸術活動基盤整備事業」において、
東京都の支援センターとして、社会福祉法人トット基金が実施する事業です。

アーツサポ東京は、障害のある人のさまざまな芸術文化活動を促進するための支援センターです。

障がいのある人々が演劇、ダンス、音楽、
映画、絵画、写真、書など
さまざまな分野で思い思いに、作品をつくったり
身体を動かしたり音を奏でたり
また鑑賞したりと、アーツを楽しめる環境を
みんなでともに作っていかれたらと願っています。

訪問者数: now loading...

研修会

「支援センター」の活動の柱の一つは、
障害者の芸術文化活動を支援する人材の育成です。

トット基金では、幅広い層を対象に研修会を行っていますので、奮ってご参加ください。
これまでに実施した研修会の報告も、お読みいただけます。

アーツサポ東京 研修講座のご案内

舞台手話通訳

舞台手話通訳養成の第一弾として行いました。今回は、主催者から公演に手話通訳を導入したいとの相談からスタートした企画です。主催者より導入の経緯と想いを書いていただきましたので以下に掲載いたします。

このような取り組みがもっと広がるよう、舞台手話通訳の養成研究および実践、導入支援を続けてまいります。関心のある方はお問い合わせください。(TA-net)

ぶんきょう演戯塾”卒業公演『Letters』公演報告

2018年2月4日(日) 13:00開演、16:00開演

於 文京シビックホール 小ホール
主催=文京シビックホール(公益財団法人文京アカデミー)

文京シビックホールでは、毎年、広く一般の方を対象とした「演劇ワークショップ」を行い、参加者による卒業公演を実施しています。

今年ははじめて、この卒業公演を「手話通訳付」で実施しました。

出演者は、「演劇ははじめて」という方を含む、18人の“ぶんきょう演戯塾”のメンバー。

昨年6月から週2回、演出家・振付師である金田誠一郎講師のもと、この卒業公演にむけて、歌、ダンスそして演技を学んできました。

脚本は金田講師の書き下ろし作品『Letters』。郵便配達人が届ける手紙が紡ぐ、5つの心温まるお話を、メンバー一同、精一杯の歌とダンス、そして心こもった演技で演じきりました。

最後のメンバー総出演で歌うシーンでは、出演者一同、歌の一部を手話で表現、素晴らしい歌詞と曲で、ご覧になった方々から、万雷の拍手をいただきました。

なお、この公演では、演出の金田先生の案で、手話通訳者の立ち位置を、公演を通して舞台上段中央に設定。

公演をご覧になった方々からは、「心があたたかくなった」、「感動して泣けた」というご意見とともに、「手話通訳の立ち位置に驚いたが、劇全体に一体感が生まれ、素晴らしかった」という意見を非常に多くいただきました。

今回の公演では、手話通訳付き公演のチケット購入手続きの方法や、聴覚障害者に対する公演時のご案内、座席位置の配慮など、事務局は多くのことを学びました。そして何より驚いたのが、「演劇公演の手話通訳」は通常の「手話通訳」とは全く異なるということ。舞台上の演技をリアルに伝えるために、喜怒哀楽を表現しつつ「手話通訳」を行うのだということをはじめて知りました。

そのために公演前の12月から数回にわたり、夜遅くまでご指導くださった米内山陽子さん、TA-netの皆様に深く感謝いたします。そして、オブザーバーとしてこの公演の「手話通訳」をお引き受けくださり、稽古の模様をビデオ撮りされ、ご自宅でも何度も何度も学ばれた三澤かがりさん、本当にありがとうございました。

新しいワークショップ受講生を迎え、来年度もこの「ぶんきょう演戯塾」卒業公演は実施の予定です。今後のバリアフリー公演企画の際には、今回学んだ数々のことを活かしていきたいと思います。

舞台手話通訳の養成研修

文京アカデミーにて行う舞台公演において、手話通訳を導入することになりました。それにあたって舞台手話通訳の研修を2017年12月に行いました。

指導は米内山陽子氏。TA-net演劇における手話通訳養成カリキュラム作成委員として2015年・2016年にお願いしました。その研究を踏まえて今回、演劇公演における手話通訳の研修実践を行いました。

通し稽古で手話通訳をチェックしたあとに、俳優の動きとのバランスを考慮しながら表現のポイントを指導しました。

2018年1月下旬には聴覚障害を持つ方がモニターとなり、どのくらいご理解いただけるかチェックします。

公演詳細はこちら!
手話通訳研修の成果を是非ごらんください。

<区民参加事業>~音楽劇ワークショップ~”ぶんきょう演戯塾”卒業公演 「Letters」
2018年2月4日(日)13時・16時(上演1時間)800円(税込・全席指定)
文京シビックセンター小ホール
http://bunkyocivichall.jp/play_detail?id=2889

「盲ろうのお客様への観劇サポートについて考える会」

12月17日(日)14時〜17時にトット文化館にて開催、22名のご参加をいただきました。まずは司会進行役のTA-net理事長・廣川より挨拶と開催目的、本日の進行予定についてお話し。

講師を務める高橋さん(盲ろう当事者・左側)と原田さん(通訳介助者)。まずは高橋さんより自分の経歴や観劇体験、通訳介助者に望むこと等をお話いただきました。

ついで原田さんのデモ。公演の動画を見ながら弱視手話と触手話の違いについてお話いただきました。

申込時に参加者から寄せられた質問に答えていただきました。ユーモアあふれる、笑いの絶えない勉強会となりました。

今日の勉強会では、盲ろう者への観劇サポートを行うにあたってのさまざまな壁を確認した上で、今後どのように進めたいかを1つの形として出せたことが大きな成果だと思います。

これからも盲ろう当事者や通訳介助者の先輩に学んだり、スキルアップのための勉強会等を考えておりますので、ご協力いただけますと幸いです。

本企画はアーツサポ東京・研修会としてTA-netが受託し行いました。

第2回ユニバーサルマナー検定3級講座

11月29日(水)午後、トット文化館にて2回目の「ユニバーサルマナー検定3級講座」を開催しました。10月の同講座に多数お申込みをいただき定員を超えてしまったため、多くの方々にひと月以上お待ちいただいての講座となりました。実は今回も、申込受付開始から数日で満席のため締め切りとなりました。ユニバーサルマナーに対する社会の関心の高まりが窺われます。

前回と同じく、株式会社ミライロに開催にご協力いただき、日本ユニバーサルマナー協会の薄葉幸恵さんに講師を務めていただきました。

講座の内容については、10月4日開催の同講座の報告をご参照ください。

研修会には34名が参加しました。聴者とろう者が一緒に学んだことで、相互の思いや考えを理解し合う場ともなりました。ろう者から、「手話で対応してくれた相手に対して感謝の気持ちを表していきたい」という感想が出されました。街で障害のある人を見かけてサポートを申し出る時の問いかけの言葉として講座で学んだ、「何かお手伝いできることはありますか?」を、手話で尋ねることができるようになりたいという希望が聴者から出て、全員でその手話表現を学ぶ一幕もありました。手話を学んでいるという受講者は、日頃はろう者の率直な思いを聴けることが少ないので、よい機会だったと話していました。

「字幕製作講座」

10月14日(土)14時〜16時 トット文化館

演劇公演に字幕を付けて上演したいという劇団を対象に、字幕製作講座を行いました。

はじめに、アプリの仕組み、字幕の作り方について説明。その後、実際にアプリを使って各自のパソコンで字幕製作。手を動かしながらなので、「わかりやすい!」と好評でした。

スライドに画面を映しながら進めました。一つ一つ丁寧に確認しながらでしたので、確実に理解していただけたようです。

最後に、製作した字幕を使って「ぽん出し」体験。台本を読み上げ、それに合わせてキーを押していきます。

「意外に集中力がいる!」

「タイミングを考えて字幕を作らないと、ネタバレになったりして雰囲気を伝えられない!」

などの感想が上がりました。

本番が楽しみですね。ちなみに以下の公演で字幕付与します。

wonder×works「アカメ」公演
12月15日(金)14時・19時
座・高円寺
全席指定4,500円(前売り当日共通)
http://ta-net.org/event/698

成果をぜひご覧ください!

「ユニバーサルマナー検定3級講座」

10月4日(水)午後、トット文化館に日本ユニバーサルマナー協会の薄葉幸恵講師をお招きして、ユニバーサルマナーの基礎を学びました。受講者は講義の聴講と演習に取り組み、全員が「ユニバーサルマナー検定3級」の認定を受けました。

「ユニバーサルマナー」は、誰もが気持ち良く社会で生活できるよう、自分と異なる人を思いやって、適切な理解のもと行動することです。現在、日本には、高齢者、障害者、乳幼児が、あわせて人口の3分の1に達します。この人々は、ユニバーサルマナーを必要としています。その家族も、周囲がユニバーサルマナーを持って接してほしいと願っているでしょう。ユニバーサルマナーは、「皆のため」のものです。「国籍、性別、年齢、障害の有無にかかわらず全ての人が使いやすいモノとサービスの在り方」が、ユニバーサルマナーの定義です。

ユニバーサルマナーに関して、思いはあるけれども「どうやればいいのかわからない」、「お節介になる気がして行動できない」という人も、少なくありません。方法さえわかれば、サポートしたい人が多いのではないでしょうか。

人と人の違いは、たくさんあります。たとえば右利きと左利きの違い。「少数派」となる左利きの人には日常生活に何かと不自由が多いのですが、右利きの人はそれに気づきにくいのではないでしょうか。自分と異なる人がどんなことに不便を感じているか、どんなニーズを持っているかを知ることが、ユニバーサルマナーの第一歩です。障害者は、社会生活に「障害」が伴う少数派の人々です。障害種別によって、不便やニーズ、不安に思うことは異なります。高齢者は、いろいろな障害種別の統合した状況と言われます。いろいろな点に不便やニーズを感じているということです。こうした人々に対して周囲に求められるのは、さりげない配慮です。義務的な配慮は好ましくありません。ほしいサポートは人により異なりますので、どんなサポートをするかを決めつけず、相手に選択肢を与えることが大切です。

声掛けの際には、相手に「できるか?」を尋ねるのでなく、「何かお手伝いできることはありますか?」と、「自分にできること」を尋ねてください。声をかけるべきか迷ったら、素直に、すぐに行動してください。サポートを断られたら、静かに見守ってください。見守りも重要なサポートです。100点満点を目指さず、歩み寄る姿勢を持ち続けて、臨機応変なサポートを心掛けてください。

研修会には、手話を学ぶ人をはじめ、いろいろな種類の障害を持つ人と付き合いたい、サポートしたいと思う人など、42名が参加して、熱心に受講しました。多数のお申込みをいただき、今回受講いただけなかった方々のために、アーツサポ東京では、11月下旬に再度、同じ研修会を催す予定です。

なお、この研修会は、株式会社ミライロのご協力により、実施されました。

「芸術作品の制作にかかわる著作権とは」

9月13日(水)午後、トット文化館に弁護士の上野真裕先生をお招きして、著作権の基礎と、美術・舞台芸術の作品制作にかかわる注意事項などについて、学びました。

著作権は、プロだけでなく創作物を作成した人すべてが持つ権利です。特許権などのような登録は不要で、創作した瞬間に、権利が発生します。最も重要な権利は、他人に無断でコピーされることを禁じる「複製権」です。権利を持つ人の許諾を受けなければ、誰もその創作物を複製することはできないのです。複数の人による共同創作物の場合は、作成にかかわったすべての個人が、著作権を持ちます。著作権を持つ人は、勝手に①公表されない、②改編されない、③氏名を表示されないなどの権利を持ちます(著作権人格権)。

自作以外の絵画などを商品にする場合は、対象となる作品と利用態様を特定して、作成者と契約を結ぶ必要があります。障害のある人の作品の場合は、弁護士などの後見人を定めることに代えて、家族などが契約者となることもできます。後々問題が起こらないよう、予め、本人や家族とよく話し合い、本人に不利にならないようにしておくことが重要です。

舞台芸術に関しては、音楽では「歌詞と楽曲」、ダンスや演劇では「振付け」が、著作権の保護対象となります。歌手、演奏家、ダンサー、俳優、そして演出家などは、実演者として、「著作隣接権」の対象となります。実演者は、複製権など基本的な部分では著作権者と同様に保護されますが、保護の範囲が狭い部分が一部あります。たとえば、演出をそっくり真似された場合、演出家は上演をやめさせる権利を持ちませんが、契約で、ある程度は予防することができます。

講演に続いて、質疑応答が交わされました。舞台作品作りの現場などから、具体的な質問が次々と出され、その対処法や留意点などについて、明快に解説いただきました。

Q: 映画や演劇を観て、それに関する作品を作って上演することはできますか?
A: 特定の作品から影響を受けたということであれば、その作品の著作権に触れます。

たとえば、聴覚障害者のための字幕、視覚障害者のための点字など、障害者の保護という福祉目的の行為は、無断利用ができるルールがありますが、それ以外では著作権者の許諾をとる必要があります。

Q: 手話狂言の上演で発生する権利は?
A: 台本の作成者が一次著作権を、振付師が二次著作権を持ちます。古典作品の著作権はすでに消滅しています。振付家と俳優が一緒に手話の振付けを作っているのであれば、俳優は、著作権と著作隣接権の両方を持つことになります。

Q: 舞台公演の写真をSNSで公開する人が増えていますが、問題ないのでしょうか?
A: 肖像権の侵害にあたるので、以前は固く禁じられていましたが、昨今は、興業主催者の考え方が変わり、SNSに載せることを観客による広告として、むしろ歓迎するケースもふえてきているようです。この場合は、著作隣接権と肖像権が放棄されたことになります。

Q: 「記念に写真を」と求められて撮影した写真が無断で販売されたら、どうすればよいですか?A: 私的利用に許諾は不要ですが、販売したら「契約違反」となりますので、販売の差し止めを求めることができます。差し止め請求は、第三者でも行えます。損害賠償請求の権利も持ちますが、往々にして被害額の算出は困難です。

研修会には、美術や舞台芸術の創作に携わる人、演劇ファン、教育・福祉の関係者、そして地域の支援者など、30名近くが参加しました。情報保障のツールとして手話通訳とUDトークでが配備されるなか、皆さん、熱心に受講していました。

アーツサポ東京では今後も、研修会、ワークショップなど、情報保障付きの催しを積極的に開いていく計画です。

活動の記録

日付 形態 タイトル 会場 主催者 概要
2018年03月09日 参加 第3回全国連絡会 厚生労働省 社会福祉法人グロー、ビッグアイ 支援センターの活動に関する課題に、どのように対処し何が達成されたか、残された課題は何かを振り返り、「今年一番のエピソード」として成果を紹介し合いました。社会的インパクト評価ロジックモデル構築研修では、短期的・長期的な社会的成果の観点から一つ一つの活動を計画し、実施後の評価を通じて活動の有意義さを実証していく手法を学びました。
2018年02月28日 参加 第4回アーツイベント実行委員会 愛成会 社会福祉法人愛成会 コミュニケーション・デザイナーの加藤未礼氏の進行で、アートを通じて地域とのつながりをつくり、ネットワークを広げていく方法を学びました。小茂根福祉園などの事例紹介から、具体的な活動やプロセスを知ることができました。
2018年02月28日 参加 ブロック合同研修会 愛成会 社会福祉法人愛成会 ブロック合同フェスティバル「表と現」の振り返りを行い、小グループに分かれて、参加者の反応や感想を話し合いました。
2018年02月17日-02月18日 主催 トットARTSフェス2018 トット文化館 社会福祉法人トット基金 障害者芸術文化活動普及支援事業による初めての総合的な参加型展示・公演事業。美術展「光と陰」と延べ6件のステージ・プログラムに、160人以上のお客様をお迎えしました。ステージでの情報保障と美術展ガイドツアーなどで、聴覚や視覚に障害のある方々にもご一緒に楽しんでいただくことができました。(活動報告「トットARTSフェス2018」をご覧ください。)
2018年02月03日 協力 身体表現ワークショップ ターナーギャラリー 社会福祉法人愛成会 障害者芸術文化活動普及支援事業における南関東・甲信ブロックの参加型イベント「表と現」の開会式において、日本ろう者劇団が身体表現ワークショップを行いました。会場の皆さんに参加を呼びかけ、皆でひとつの表現をつくったり、思い思いの表現を披露してもらったりして、からだを使って表現する楽しさを共有しました。
2018年01月28日 参加 第2回全国連絡会議(舞台表現分野) ビッグアイ ビッグアイ 障害者芸術文化活動普及支援事業における本年度の舞台表現分野の活動について、地域ブロックごとに報告と実演・映像紹介を行いました。代表者によるディスカッションでは、各障害と舞台芸術の両方を理解して福祉と文化をつなぐことのできる人材の必要性、地域づくりや市民運動など異分野とのつながりなどに、話題が広がりました。
2018年01月27日-01月28日 主催 美術展示 国立能楽堂 社会福祉法人トット基金 日本ろう者劇団による「第37回手話狂言・初春の会」の会場ロビーに、ろうの写真家として国内外で評価の高い井上孝治氏の写真、㈱パソナ・ハートフル「アート村」の作家による伝統芸能をテーマとする絵画、劇団メンバーによる造形などの作品を展示しました。
2018年01月17日 参加 第3回ブロック連絡会議 愛成会 社会福祉法人愛成会 舞台表現分野での支援活動について、各団体の現状と課題を報告しあいました。全国連携を担うビッグアイより、支援活動の趣旨の確認、特に重要な活動の進め方などについて、説明いただきました。
2018年01月17日 参加 ブロック合同研修会 愛成会 社会福祉法人愛成会 弁護士の山崎純氏より、「美術・舞台芸術における権利保護について」と題するレクチャーをいただきました。主として著作権法の観点から、具体的な留意点や、展示、二次利用に際する手続き等について、ライツが作成されたハンドブックを用いて、講義いただきました。
2018年01月17日 参加 第3回アーツイベント実行委員会 愛成会 社会福祉法人愛成会 2018年2月開催のブロック合同フェスティバル「表と現」に向けて、展示の方法や留意点について学び、進行要領を確認し合いました。
2017年12月01日 参加 第7回障害とパフォーミングアーツ研究会 アーツカウンシル東京 アーツカウンシル東京 アーツカウンシル東京の助成を受ける団体の活動紹介、アーツカウンシル東京による企画公募の説明等が行われる研究会において、「アーツサポ東京」の活動を紹介しました。
2017年11月19日 参加 TOKYOみみカレッジ 首都大学東京 東京都 聴覚障害や手話についての理解を深める目的で毎年開かれるイベントに、出展しました。来場者ひとりひとりにアーツサポ東京の活動について説明し、利用を呼びかけました。
2017年11月15日 参加 第2回アーツイベント実行委員会 愛成会 社会福祉法人愛成会 2018年2月開催のブロック合同フェスティバル「表と現」の概要説明につづいて、「アーツサポ東京」およびトット基金の活動紹介を行いました。ワークショップでは、「表」と「現」について各参加者が発表し、「みんなのダンスフィールド」のリードで身体表現にチャレンジしました。
2017年11月15日 参加 ブロック合同研修会 愛成会 社会福祉法人愛成会 ㈱朝日エルの岡山慶子会長より、「効果的な広報周知」に関してレクチャーいただきました。まず、メッセージを届けたい相手についてよく知ること、その相手にメッセージが届きやすい方法を選ぶこと、効果があがりやすいよう内容を整えることなどを、ワークを通じて具体的に学びました。
2017年11月15日 参加 第2回ブロック連絡会議 愛成会 社会福祉法人愛成会 各団体の美術と舞台表現の活動について報告し、ネットワークの作り方、関心の広げ方、行政との連携の進め方などについて、ノウハウを交換したり、悩みや苦労を共有したりしました。トット基金より奈良での公演・ワークショップの報告も行いました。
2017年11月11日 主催 「第17回全国障害者芸術・文化祭なら大会」連携事業 手話狂言ミニ公演・サインマイム 奈良県文化会館 社会福祉法人トット基金 「障文祭なら」に参加して手話狂言のミニ公演を行いました。「サインマイム」につづき、「附子」を披露、衣裳は付けず「紋付」によるデモ公演という初めての試みでした。奈良在住のろう者をはじめ、40人以上の観客に鑑賞いただきました。(活動報告「奈良公演」をご覧ください。)
2017年11月10日-11月11日 主催 「第17回全国障害者芸術・文化祭なら大会」連携事業 手話狂言ワークショップ 奈良県文化会館 社会福祉法人トット基金 和泉流狂言師と日本ろう者劇団団員が、手話狂言を指導しました。参加者は、ろう者と健聴者がおよそ半々。所作を習い、手話と声のセリフをそれぞれ覚えて、合わせることにチャレンジしてもらいました。(活動報告「奈良公演」をご覧ください。)
2017年11月07日 広報 東京都特別支援学校校長会 幹事会 都教育会館 東京都特別支援学校長会 幹事会 「アーツサポ東京」の活動について説明し、周知を依頼しました。
2017年10月22日 協力 エル・システマ ガラコンサート 東京芸術劇場 駐日ベネズエラ・ボリバル共和国大使館、東京芸術劇場 他 ガラコンサートのプログラムのひとつである、聴覚障害のある子どもたちによるホワイトハンドコーラスの、参加者選びや振付け指導などに協力しました。
稽古と公演の様子については、活動報告をご覧ください。
2017年10月21日-10月22日 協力 「アート村」作品展 東京芸術劇場 (株)パソナ・ハートフル 「エル・システマ・フェスティバル2017」会場ロビーでの音楽にまつわる絵画の展示会の企画と実施に、協力しました。
さまざまな楽器や指揮棒を手にした、生き生きとした表情の演奏者を描いた絵など15作品が並びました。「アート村」は、パソナ・ハートフル社が絵を描くことが好きな障害者のアートによる就労支援を目的に設立したもので、所属する障害者は同社の社員です。
2017年09月29日 参加 品川区内障害者施設等交流会 福栄会 社会福祉法人福栄会 品川区 品川区内にある障害者就労支援施設等と品川区障害者福祉課が一堂に会し、約100名で情報交換を行う交流会で、「アーツサポ東京」を紹介しました。
2017年09月26日 参加 第1回全国連絡会議 ビッグアイ 社会福祉法人グロー・ビッグアイ 厚労省「障害者芸術文化活動普及支援事業」の全国の実施団体と自治体など50名余りが一堂に会し、厚労省担当官から事業の説明を受けた後、舞台芸術と美術の小グループに分かれて、事業遂行上の課題や解決に向けた工夫等を話会いました。
2017年09月23日 協力 第20回メディア芸術祭 トット文化館 文化庁 サテライト会場でのプログラムとして、手話弁士のついた映画の上映会、映画監督らによる対談、聴覚障害のある俳優によるワークショップなどの実施に、情報保障などで協力しました。
2017年09月20日 参加 第1回ブロック連絡会議 ターナーギャラリー 社会福祉法人愛成会 厚生労働省「障害者の芸術文化活動普及支援事業」における南関東・甲信地方の拠点が初めて一堂に会しました。埼玉県から社会福祉法人みぬま福祉会、山梨県から社会福祉法人八ヶ岳名水会、栃木県から認定NPO法人もうひとつの美術館が、ともに参加しました。
2017年09月20日 参加 ブロック合同研修会 ターナーギャラリー 社会福祉法人愛成会 アーツサポ東京の協力者でもあるNPO法人シアター・アクセシビリティ・ネットワークの理事長・廣川麻子氏による「障害のある鑑賞者への支援について~みんなで一緒に楽しもう~」と題する講演。舞台公演に際する字幕ガイド、手話通訳、舞台説明会など、情報保障のさまざまな方法について、具体的に学びました。
2017年09月20日 参加 第1回アーツイベント実行委員会 ターナーギャラリー 社会福祉法人愛成会 昨年度のイベントにも参加した団体のスタッフなど30名ほどが、会場下見を兼ねて集まりました。2018年2月に開催予定の参加型展示会に向けて、コミュニケーションデザイナー加藤未礼さんをファシリテーターに、「表現」について考えるワークショップが行われました。
2017年09月18日 参加 障害×アート見本市 アーツ千代田3331 NPO法人エイブル・アート・ジャパン 「障害のある人と一緒に芸術文化を通じて人と社会の可能性を探る」ために異分野のネットワークを拡大しようと、官・民の中間支援組織など、20を超える団体のブースが出展。韓国からの訪問団を含め多数の来訪者で、会場は午前から午後まで賑わいました。
「アーツサポ東京」初のお披露目の場として、できたてのリーフレットをブースに並べ、活動計画を説明しました。多くの方々と出会い、情報交換、意見交換を行うことができました。

RONE&Gigi コメディMusicライブ「秋のラプソディ」

「舞台手話通訳養成」事業として、以下公演において、成果を披露します。ぜひご来場ください。

日時:9月29日(土)13時30分・19時 開演
【全指定席・ワンドリンク付・税込】前売 5,890円
会場:LAPIN ET HALOT(ラパン・エ・アロ)

「芸達者にもほどがある!」
海外でも活躍するロネ&ジージのコメディMusicライブは、「動く絵本のようだ」と言われる、音楽、トーク、ダンス、イリュージョンやジャグリング、マジックやマイムなどが、盛りだくさんのステージ。
喜劇王チャップリンに代表されるコメディの手法をベースに、日本ではここでしか見られない大人のための笑いのステージをお届けします。

【今回のライブのイメージ】
テーマは「ハイカラ」。ある老舗旅館を舞台に、秋の宴で色々なハプニングが起こる、笑いと驚きがいっぱいの観客参加型のステージ。
物語もさることながら、その間に芸の数々が散りばめられています。

このライブのもう一つの魅力は、飲みながら食べながら、見られること。毎回ライブのテーマに合わせて変わるメニューや、おすすめの「おいしい!」をお楽しみに。チケットはワンドリンク付です。

【手話通訳のある回について】
きこえる人も、きこえない人も、一緒に楽しめるステージを目指しています。
お芝居の中に、手話や手話通訳を組み込んであるので、自然にお楽しみ頂けます。
手話通訳監修:米内山陽子
手話通訳協力:アーツサポ東京
劇中手話指導:井崎哲也

http://rg.op-sesame.com/live-201809/230/

トットARTSフェス2018

2月17日土曜日と18日日曜日の2日間、品川区西品川のトット文化館において、「トットARTSフェス2018」を開催しました。アーツサポ東京が開く初めての総合的な参加型展示・公演会です。

トット文化館は、就労継続支援B型施設と日本ろう者劇団の活動の拠点で、昼間は施設利用者の作業や、手話教室を行っています。その全館を、前日に大勢の人の手を借りて、ステージ・プログラムと美術展の会場に作り替えて、フェスのお客さまをお迎えしました。

美術展「光と陰」は、個展や公募展で活躍する画家、プロを目指す若手アーティスト、長年コツコツと描き続けてきたろう者、さらに、ご協力くださった地域の美術家の方々の作品、合計17点の展覧会です。大型のダイナミックな作品から静物画、抽象画まで、油絵からペン画まで、それぞれに個性あふれる作品が並びました。

特別展示の、国内外で高く評価されるろうの写真家・井上孝治氏の作品7点と、株式会社パソナハートフル「アート村」のアーティスト社員による絵画3点で、会場は、一層彩り豊かなものになりました。

鑑賞に訪れた方々から、生き生きとしたタッチ、繊細な筆遣い、斬新な色彩についてなど、さまざまなコメントを頂戴しました。音のない「静」の世界に生きる人々の研ぎ澄まされた感性と、秘められたエネルギーの熱さを、多くの方々に感じていただけたのではないかと思います。

ステージ・プログラムでは、「演劇結社ばっかりばっかり」が、2日にわたって『悪い人じゃないんだけど…』を上演してくださいました。全盲の役者・美月めぐみさんと劇団主宰の鈴木大輔さんを中心に、誰もが楽しめるエンターテイメントとしてつくられた、視覚や身体に障害のある人にまつわる「あるあるネタ」のオムニバス・コントです。駅でのハプニング、街中ですれ違う人のやり取りなどの場面を通じて、善意の思い込みやコミュニケーションのずれなどが楽しい突っ込みとして描かれます。観ている人も思わず「あるある!」と、笑って頷いていました。

開演前には、視覚障害のある人が演じ、また鑑賞を楽しむための舞台の工夫の説明があり、また、聴覚障害者のための情報保障として、漫画の吹き出しのような字幕でセリフが投影されました。視覚や聴覚に障害のある多数の来場者も含め、皆さんでご一緒に楽しんでいただくことのできる舞台でした。

日本ろう者劇団による「ムーブメントシアター」は、サインマイムを取り込み、何人もの人で一緒にダイナミックな動きを創り上げる演劇表現です。劇団員を中心に、観客にも参加してもらって、一人一人が羽根、プロペラなど、飛行機の部品になって皆で空を飛ぶなどのボディパズルが披露されました。

2日目の午後には、フェスの最後を締めくくるトーク・セッションが行われました。「ばっかりばっかり」の美月めぐみさん、ミュージカル・グループ「ホット・ジェネレーション」の代表・鳥居メイ子さんと、日本ろう者劇団の俳優・廣川麻子の3人で、「思い思いにARTSを楽しもう!」をテーマに、アーツ活動での経験や思いを語り合いました。

「ホット・ジェネレーション」では、知的障害のある子なども含めひとりひとりの「できること」にフォーカスを当てて、毎回のレッスンを工夫しているそうです。楽譜や文字で学ぶことの苦手なメンバーには耳で覚えられるよう歌やセリフを何度も聴かせ、言葉での指導が難しいメンバーにはからだで覚えられるようダンスや芝居の振付けを何度も見せて、何度も一緒にやってみる稽古を重ねて、ミュージカル公演を作っていきます。自分の成長を期待し、喜んでくれる周囲の存在が、子どもの大きなモチベーションになること、一緒に良い作品をつくろうと真剣に真正面から向き合えば、厳しい練習でも必ずついてきてくれることなど、20年近い活動の蓄積をもつ鳥居さんならではの言葉に、深い含蓄が感じられました。

美月さんは2日間のプログラムをすべてご一緒くださった経験から、ろう者と視覚障害者が一緒に行動する機会は日頃あまりないので、お互いの障害、お互いの間のコミュニケーションについて、考える良い機会になったと、感想を語ってくださいました。

視覚障害者は「見て学ぶ」ことができない分、いろいろなことについて言葉で詳しく説明してもらうことが必要だという美月さんの指摘から、一緒に表現活動をし、一緒に一つの作品をつくっていくには、ことば、ことば以外、あるいは手話と、手段はそれぞれでも、コミュニケーションが最も重要だという点で、3人の意見が一致しました。障害の種類は異なっても、仲間と力を合わせて舞台芸術作品をつくっているアーティスト同士ならではの、思いの通じ合うところの多いトークでした。

トット文化館には2日間で160人以上のお客様が来館され、延べ約380人に、ステージ・プログラムを鑑賞いただきました。

「ばっかりばっかり」の鈴木大輔さんが、視覚障害のあるお客様のための美術展ガイドツアーと、ステージ・プログラムの音声ガイドを買って出てくださいました。手話通訳、トーク・セッションでのUDトークなどの情報保障策と相まって、聴覚や視覚に障害のあるお客様にも十分に楽しんでいただくことができたのではないかと思います。また、障害のないお客様にも、ステージや展覧会の現場での情報保障について具体的に知り、皆で一緒に舞台を楽しむことを実体験できたと、好評をいただきました。

聴こえる方、聴こえない方、見える方、見えない方、皆さまとご一緒に「トットARTSフェス2018」を実施することができ、アーツサポ東京のスタッフ一同、たいへん嬉しく思っています。開催にご協力くださった皆さま、会場に足を運んでくださった皆さま、どうもありがとうございました。

エル・システマ ガラコンサート2017 「東京ホワイト・ハンド・コーラス(TWHC)」 公演報告

2017年10月22日(日)
於東京芸術劇場コンサートホール
主催=ベネズエラ・ボリバル共和国大使館/東京芸術劇場/(社)エルシステマ・ジャパン

エルシステマとは、「すべての子供たちに音楽教育を受ける権利がある」をモットーにベネズエラ・ボリバル共和国が世界中で展開している教育プログラムです。

10月22日(日)東京芸術劇場コンサートホール。いよいよ「東京ホワイトハンドコーラス(TWHC)」本番の日です。この日のために8月から、ほぼ毎週日曜日の午後、稽古を重ねてきた12人のろうの子供たちと、手話指導にあたった日本ろう者劇団の井崎哲也氏、手話通訳の田家佳子さんは、ベネズエラ・ボリバル共和国大使夫人でソプラノ歌手のコロンえりかさんらと共に、朝9時からゲネプロ(本番通りの舞台稽古)に備えて楽屋入りしています。

前日、子供たちはベネズエラからやってきた「ララ・ソモス」のメンバーたちと初対面しました。二人のろう者(ホワイトハンドコーラス)を含む混成合唱団です。相馬市からも、共演する「相馬子どもコーラス」の元気いっぱいのメンバーたちがやってきました。プロデューサーの菊川さんが代表をつとめる「エル・システマジャパン」は、5年間にわたって被災地を訪れ、子供たちの音楽教育に取り組んで成果を上げてきたのです。楽屋は大賑わい!

4回目になる「エル・システマ・フェスティバル」は今年、エル・システマ出身で、17才という最年少でベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のコントラバス奏者となったエディクソン・ルイス氏を迎え、至福の音楽を芸劇に集まった聴衆に披露してくれています。

今年度、厚生労働省の「障害者芸術文化活動普及支援事業」により東京都における「支援センター」をつとめているトット基金では、この機会に、コロンえりかさんの紹介で、障害者の社会参加について先進的な素晴らしい活動に取り組んでいる株式会社パソナハートフルにお願いして、芸劇のホワイエに「アート村」の皆さんの作品を展示していただくことを提案しました。大手町のパソナグループ本社ビルでは、障害を持つ多くの社員による作品や製品がいたるところに展示され、販売され、次の企画が進行しています。パソナハートフル代表取締役の深沢さんみずから、えりかさんと共にお願いに訪れた井崎氏に社内の活動のようすを紹介し、展示を快く引き受けて下さいました。ホワイエに飾られた二人のアーティストの作品は、明るく生き生きとした色調で「音楽」を描写し、幕間に訪れた観客を癒してくれました。

開演3分前。2階で開演を待つ観客たちがさっと立ち上がりました。秋篠宮妃殿下のご到着です。いよいよ第1部のはじまりです!

舞台いっぱいに広がった相馬っ子たちが、素晴らしハーモニーで「相馬盆歌」「お菓子の歌」などを歌い、次に青いドレスに身を包んだえりかさんの「被ばくのマリア…。そしていよいよTWHCの子どもたちがさっそうと登場しました。見守る1200人の観客。

「紅葉」「雪」「月のひかり」…。子どもたちはのびのびと、表現力豊かなその手と身体で歌いきりました。喝采です!ホワイトハンドコーラスは、ここ東京でしっかりと種がまかれました。

 第2部のララ・ソモスのコーラスは圧巻でした。何年もの稽古とステージを重ねたミュージシャンたち。日本人は到底かなわないリズム感。ブラヴォーの声と万雷の拍手のうちに第2部は終わりました。

そして第3部。相馬の子供たちとエディクソン・ルイス氏の共演が実現しました。指揮は日本で指折りの井上道義さん。闊達なトークで観客の心をつかみます。そして合唱指揮は古橋富士雄さん。子供たちの目線まで体をかがめ、ひとりひとりの心を捉えているのがわかります。

アンコールには、ガラコンサートの出演者全員が再び舞台に登場しました。ベネズエラの国民歌だというリズミカルな楽曲の大合唱です。真ん中に陣取ったTWHCの子供たちも、体でリズムをとって乗っています!平原を馬に乗って走るような、軽やかなリズム…稽古場でえりかさんが説明してくれました。観客も一体となって、皆揺れています… ブラヴォー!の連呼、そしてスタンディングオベイション。感動し、涙を流す観客たち。ひらひらと「見える拍手」に答えて、舞台から子どもたちが胸を張って両手を振り返しています!

東京ホワイトハンドコーラス ガラコンサートは大成功のうちに幕を閉じました。

「第17回全国障害者芸術・文化祭なら大会」連携事業 手話狂言ミニ公演・ワークショップ報告

11月10日。穏やかに晴れた晩秋の古都奈良。奈良県文化会館地下1階「多目的室」において「手話狂言ワークショップを開催しました。平日の金曜日とあってこの日の参加予定は6人。同時開催の美術作品展示会場を訪れる来場者を「客引き」しようと、到着早々参加メンバー総出で準備に入る。

9/1~11/30と、実に3か月にわたって開催されている「第32回国民文化祭・なら2017/第17回全国障害者芸術・文化祭なら大会」も大詰め。開閉会式も行われる奈良県文化会館は、近鉄奈良駅に近く、かの大仏さま(東大寺)や春日大社を擁する奈良公園からも徒歩圏内です。

手話狂言ミニ公演は、11月7日~15日に開催される、障文祭なら大会最大の展覧会ウィーク、題して「みんながHAPPYになる展覧会」に華を添える演劇イベントとして企画したものです。

1階と2階の展示室では、さまざまなアート作品が展示されています。「東アジア障害者アート展~イメージとスピリチュアリティ:表現に宿る霊性~」では、日本、韓国、中国の障害者の作品展示。「モノが物語る意匠(デザイン)の文化史」では、人間のものづくりの歴史と障害のある人の表現のかかわりを探る展示。「県下一品!アートな福祉」は、奈良の福祉施設のイチオシを集めた展示会です。そして「他県連携特別展」として開催されているのが、全国で展開される障害者芸術にかかわる団体の取組みと連動した特別展。各県の厚労省普及支援事業採択団体が出展しています。(秋田、宮城、和歌山、大分、熊本)そしてなんといっても一番の賑わいを見せているのが、6年間にわたり開催されてきたという「奈良県障害者芸術文化祭HAPY SPOT FUTURE」。2階の会場を訪れると、自閉症のアーティストがプログラミングしたというロボットのペッパー君が「ここは奈良県文化会館HAPPY SPOTです」とお出迎えしてくれます。床いっぱいに広げられた色彩豊かなアート作品。親子連れの参加者がくつろぎ、子供はPCに向かって自由遊んでいます。

手話狂言WSには、県の国民文化祭・障害者芸術文化祭課の課長さんはじめ、職員の皆さんも参加して、狂言師の指導に従い大きな声を出してストレス発散(?)してくれました。毎日新聞の女性記者は、予定を大幅に上回る時間を割いて熱心に取材してくれました。上々のスタートです。日本酒発祥の地、奈良の一夜。地元「たんぽぽの家」の皆さんと酌み交わすお酒はなかなかのものでした!

翌11日土曜日。ミニ公演は10時30分開演。2階小ホールでは、朝早くから訪れた奈良在住のろう者の観客が、最前列中央の席におさまっています。予約以上の42人の参加を得て、手話狂言初の「紋付によるミニ公演」、衣裳をつけないぶん、演者の技量も問われることになります。フェスティバルならではの新しい試みとして、古都奈良で発信したこの公演は記念すべきものとなり、今後更に多くの層に、障害の有無やことばの違いにかかわらず誰もが楽しめる演劇として手話狂言を発信していくうえで、先駆的な機会となりました。

午後のWSも定員超えの23人が参加。ろう者の子供たちも、先輩ろう者の俳優の指導に目を輝かせて「手話狂言」に取り組みました。ろう者と健聴者がおよそ半々、所作を習い、大きな声を出し、手を動かす。それぞれが手話と声でセリフを覚え、あわせてみる…。約1時間の講義がおわり、質問タイム。「補聴器をつけて演じることはできますか?」の問いに、演者は「補聴器は要りません。手話に集中できなくなりますから。」

現地解散の後、陽が陰り始めるなか大仏殿へ向かいました。南大門をくぐり、大仏殿へ。暗がりに鎮座まします大仏様は、1200年の歴史を経て、いつの時代にも存在したはずのさまざま個性(障害)を持つ人々の喜びや悩みも、悠々と受け止めて下さっているかのようでした。

エル・システマ・ジャパン「ホワイト・ハンド・コーラス」稽古場訪問記

 「みんな光にさわったことある?」コロンえりかさんの柔らかな声が問いかけます。考えはじめる子供たち。「私は、この詩を書いた人はきっと、光にさわったことがあるのだと思います。」声と同じく子供たちを包み込むような柔らかい彼女の手話を、子供たち一心に見つめます。 「真っ暗な夜に、美しいお月さまの光が差し込んだら、さわってみたくなるでしょう?」

 東京芸術劇場5階の稽古場。本番を3週間後に控え、「ホワイト・ハンド・コーラス」の稽古は佳境に入っています。

えりかさんの声と手話は続きます。「みんな、からだを脱いだことある?」服を脱ぐ仕草の子供たち。「この人はねえ、からだを脱いだことあるんじゃないかな。何かを一生懸命やっているとき、おなかがすいたことも、疲れたことも忘れて、心だけになることってない?」うんうん、と頷く男の子…。

 えりかさんは、ことばに込められた深い意味を「翻訳」して子供たちに伝えているかのようです。ことばから声へ、声から手話へ、手話から音楽へ…。

「…心が先に行って、おいでおいでと手招きしているの。その手はどんな手だと思う?」「ミッキーマウスの手!」「透明人間の手!」「怪獣の手!」口々に答える子供たち。

心が同じなら、詩でも、声でも、手話でも、そして音楽でも、同じことを伝えることができる、とえりかさんは子供たちに理解させようとしている! エル・システマの素晴らしさを垣間見た思いです。

演じること(歌うこと)を英語ではinterpretationという。つまり翻訳。心は日本語にも、スペイン語にも、手話にも、音楽にも「翻訳」できる!

「本番には2000人のお客様がいらっしゃいます。心を合わせて歌えば、その心をお客様に届けることができます…。」

本番のリポートは次回、お楽しみに!

「障害 × アート見本市」

9月18日、NPO法人エイブル・アート・ジャパン主催による「障害×アート見本市」に参加しました。この見本市は、「障害のある人と一緒に芸術文化を通じて人と社会の可能性を探る」ために異分野のネットワークを拡大しようと、官・民の中間支援組織などに参加が呼びかけられたものです。

会場となった「アーツ千代田3331」のコミュニティスペースには、20を超える団体のブースが並び、韓国からの訪問団を含め多数の来訪者で、午前から午後まで賑わいました。

「アーツサポ東京」も、初めての公でのお披露目の場として、できたてのリーフレットをブースに並べ、活動計画を説明しました。多くの方々と出会い、情報交換、意見交換を行うことができました。

都内の動き

東京都内で活動する団体をアーツサポ東京のスタッフが訪問し、
日常の練習や公演など発表の場を見学し、
参加者・指導者からお話を伺って、
活動状況をご紹介するレポート・シリーズです。

第12回 日本ろう者劇団
代表・江副悟史さん、顧問・井崎哲也さんインタビュー
第11回 みんなのダンスフィールド
理事長・西洋子さんインタビュー
第10回 バリアフリーカンパニー あぴラッキー
主宰・香瑠鼓さん インタビュー
第9回 藝大アーツ・スペシャル2017「障がいとアーツ」
東京藝術大学COI拠点特任教授 新井鷗子さん インタビュー
第8回 ポコラート
事務局コーディネーター嘉納礼奈さんインタビュー
第7回 ホットジェネレーション
代表・鳥居メイ子さん、制作・増山信惠さんインタビュー
第6回 2017アジア・パラアート-書-TOKYO 国際交流展
第5回 クリエイティブ・アート実行委員会
事務局長
インテグレイテッド・ダンス・カンパニー響-Kyo プロデューサー 伊地知裕子さんインタビュー
第4回 手話パフォーマンスきいろぐみインタビュー
代表: 南瑠霞さん(手話パフォーマー・手話コーディネーター・手話通訳士)
デフキャスト: 中嶋元美さん(手話パフォーマー・デフダンサー・手話指導者)
手話通訳: 手話あいらんどマネージャー 蓮子都さん(手話通訳士)
第3回 サイン アート プロジェクト.アジアン
代表・大橋ひろえさんインタビュー
第2回 演劇結社ばっかりばっかり
主宰・鈴木大輔さん、女優・美月めぐみさんのインタビュー
第1回 NPO法人アンハードノート・ピアノパラ委員会
委員長 迫田時雄さんのインタビュー

第12回 日本ろう者劇団

2018年2月6日
アーツサポ東京
アーツサポ東京

日本ろう者劇団の成り立ちについて、教えてください。

江副

1979年に女優の黒柳徹子さんの尽力で、アメリカのろう者劇団、ナショナル・シアター・オブ・ザ・デフの日本公演が実現しました。黒柳さんは、アメリカの手話を日本の手話に訳したり、英語のセリフを日本語で話したりと、劇団と一緒に自らも舞台に立って、全国で公演を行いました。演劇好きのろうの若者がこの公演を観てカルチャーショックを受け、自分たちもと、仲間を集めて「東京ろう演劇サークル」をつくりました。一方、黒柳さんは公演への反響に手ごたえを感じて、ろう者が演劇活動のできる環境を日本にもつくりたいという思いをますます強め、そのために、著書『窓ぎわのトットちゃん』の印税を使おうと考えていました。そして1982年に社会福祉法人トット基金が設立され、演劇サークルは「日本ろう者劇団」に改称して、トット基金の付帯劇団となったのです。前身の演劇サークルの誕生から数えると、今年(2018年)で38年目となります。創立のときの中核メンバーが今も、劇団員として舞台に立ち、若手を指導しています。

アーツサポ東京
アーツサポ東京

前代表代行の井崎さんご自身も、創立メンバーのひとりですね。

井崎

はい。80年代に日本で手話ブームが起こりました。1981年の国際障害者年も、一つの契機でした。テレビドラマや映画でろう者が手話を使って演じることも増え、手話に関心が寄せられて、各地に手話サークルができました。それで、手話を使った芝居を観たいと、各地のろう者大会などから招かれて、日本中で公演を行うようになったのです。

江副

ムーブメントシアターやサインマイムの新作を次々につくり、レパートリーを広げていきました。それと並行して、創立メンバーたちは、役者としてのスキルアップにも熱心でした。井崎さんは、1年間以上アメリカに滞在して、ナショナル・シアター・オブ・ザ・デフのメンバーとして、全米とカナダの巡回公演に参加しました。このアメリカの劇団との交流はその後も続き、東京国際演劇祭で共同制作作品を上演したり、ワシントンDCでのろう者の祭典「Deaf Way」で公演を行ったりしています。

1983年にイタリアのパレルモで開かれる世界ろう者会議・演劇祭典に、日本から芝居を出さないかと、誘いがありました。開催の、わずか半年ほど前のことです。トット基金の理事長になっていた黒柳さんの発案で、日本の伝統芸能である狂言を手話で演じて、世界中のろう者に紹介することになりました。黒柳理事長が懇意にしていた三宅右近先生が指導してくださることになり、三宅先生と劇団のメンバーで、狂言の一つ一つの所作に手話を使った表現を考え、半年間で作品を創りあげました。劇団のメンバーには、もちろん狂言の経験がありませんでしたので、ゼロからのスタートで、とても苦労したそうです。幸い、イタリアでの公演は成功し、その後、手話狂言のレパートリーも増えていきました。国内各地での公演や、海外での公演で、手話狂言は人気演目となって、今では、日本ろう者劇団のシンボルのようになっています。

井崎

手話狂言、ムーブメントシアター、サインマイムの3つを組み合わせて、これまでに、40くらいの都道府県で公演してきました。しかし、沖縄などへはまだ行っていないので、機会をつくって、全ての都道府県を制覇したいと思います。

アーツサポ東京
アーツサポ東京

手話狂言とムーブメントシアターには、どのくらいのレパートリーがあるのですか。

江副

手話狂言のレパートリーは70くらいです。2~3年ごとに新作をつくっています。ムーブメントシアターは、劇団創設当初からのものを全部合わせると、15くらいあるでしょうか。

井崎

ムーブメントシアターは、声の無い、子どもから大人まで楽しめる芝居です。昔は、演劇の楽しさを知らないろう者が多かったので、地方公演では特に喜ばれました。

江副

ムーブメントシアターにもいろいろ種類があって、たとえば「大きな木」という作品は、声がつきます。

劇団のジャンルにはもう一つ、「創作視覚演劇」があります。創設メンバーの中心で、初代の代表を務めた米内山明宏は、寺山修司の舞台にインパクトを受けて、演劇活動をしている人です。創作視覚演劇は、高い芸術性を追求する作品群です。芥川龍之介やシェークスピアのテーマを扱う作品、幻想的な、あるいは抽象的なテーマの作品が主ですが、近年はストーリー性のあるものが増えています。声をつけますので、その部分だけプロの俳優に頼んでいますが、脚本、演出、舞台美術などはすべて劇団員の手でつくっています。地方ではなかなか上演の機会がありませんが、東京の、演劇ファンが足繁く訪れるような劇場での上演が中心です。毎年1度は新作をつくって発表しています。

井崎

演劇の幅が、昔よりずっと広がっています。変化するのは良いことです。

江副

エンタテイメントの幅も広がりました。観客層も昔とは違ってきました。楽しみの選択肢が増えてきたのは良いことだと私も思います。

アーツサポ東京
アーツサポ東京

どのくらいの頻度で公演や稽古を行っていますか。

江副

毎年1月に、千駄ヶ谷の国立能楽堂で公演を行っています。黒柳理事長の「お話」に続いて、今年は、3つの演目を上演しました。2日間の公演はおかげさまで満席でした。毎年、楽しみにして来場くださるお客さまが多いので、有難く思っています。

江副

この他に、手話狂言とムーブメントシアター、サインマイムを組み合わせるなどして、地方を含めると年に10~15回ほど公演を行っています。手話狂言は公演の都度、三宅先生が演目と配役を決めてくださり、再演のものでも1ヶ月間ほどは稽古をします。創作視覚演劇は、公演前2~3ヶ月前から稽古をします。劇団員のほとんどが別の仕事も持っているので、平日の夜と週末を使って週に3~5回、品川区にあるトット文化館に集まって、稽古をしています。

江副

公演のない時期は基本稽古につとめています。今年度は文化庁の育成事業として、プロの役者、ダンサー、パントマイマーなど、それぞれの世界で活躍する方々に指導をお願いして、身体表現、演技技術などのワークショップを行っています。劇団員が学ぶのが主目的ですが、オープンにして、外部の人たちに参加してもらうこともあります。

アーツサポ東京
アーツサポ東京

劇団員の勉強のためのワークショップとは別に、劇団員が学校などに出向いて指導者としてワークショップを行うことも多いそうですね。

江副

ろうの子どもが演劇を楽しむことができるのは、今でも、東京と大阪など大都市に限られます。地方に住む子どもには機会が少ないので、まず、ろうの役者が演劇活動をしていることを知って、身近に感じてもらいたいと思っています。演技指導の第一歩として、手話を使った芝居の所作の一つ一つに意味があることを紹介します。手話は後ろからは見えませんので、役者は舞台上で後ろを向くことができません。真横からでも、見えません。150度くらいが限界です。その範囲で動きをつくること、たとえば足を一歩動かすのも考えながらしなければならないことを説明して、理解してもらいます。

もう一つ大切にしているのが、手話のイントネーションを教えることです。声をつかう俳優がより聴きやすい発声のためにボイストレーニングをするのとちょうど同じように、私たちも、より見やすい手話、美しい手話をめざしてトレーニングして、舞台に立っています。手話のイントネーションとは、そういう意味です。子ども達にもそうした意識を持って、美しい手話をめざしてもらえたらと思います。

東京都内のろう学校にはよく招かれますが、地方のろう学校も毎年20校ほど訪れています。地域の人々も一緒に参加できるような機会も増えてきました。その他にもいろいろなところでワークショップを行っています。狂言を紹介して、体験してもらうこともあります。先日、少し前にワークショップを行った学校の先生に会ったら、その後、生徒たちの間で手話狂言の所作がブームになったと話してくださいました。日頃から、日本の伝統文化を広める一端を担いたいと考えているので、子どもに関心を持ってもらえるのは嬉しいことです。

ろう学校の生徒に、文化祭に向けて演技指導を行うこともあります。最近では、品川区にある私立のろう学校、明晴学園の小学校5,6年生と、『仁王』という作品をつくりました。4ヶ月間に10回ほど稽古に通いましたが、子ども達は、私が行かない日も自主練習も重ねたそうです。特に大切に教えたのは、間と、脚の向きや運びです。舞台、衣装、大道具などもひとつひとつ学校でつくって、文化祭では見事に、子どもだけの手話狂言が披露されました。これからも、子どもへの手話狂言の指導の機会をふやしていきたいと思います。

アーツサポ東京
アーツサポ東京

米内山さんから代表を引き継いで、丸1年になりますね。新代表として、大切にしていることと、今後の目標を聞かせてください。

江副

トット基金設立時以来の黒柳理事長のモットー、「聞こえる人も聞こえない人も共に楽しめる演劇」を、何より大切に考えています。

日本ろう者劇団の長い歴史と伝統を大切にしつつ、ろう者の間でのイメージを刷新していきたいと思います。劇団のレベルを更に上げて、トップの劇団として定着し、東京オリンピック・パラリンピックの開閉会式にかかわることが目標です。

もう一つ、「手話の美」を多くの人に知ってほしいと思っています。言葉と同じように手話も、世代によって変化するものですが、若い人たちの手話には少し乱れも見られます。本来の手話の動きの美しさを、私たちの芝居で感じてもらいたいと願っています。聞こえる人にも聞こえない人にも手話の魅力を知ってもらえることをめざしています。

公演の予定

2018年9月6~9日 視覚演劇公演「武士の心」 シアターχ(カイ)(両国)

2019年1月26~27日 第39回手話狂言・初春の会 国立能楽堂(千駄ヶ谷)

日本ろう者劇団

ホームページ: http://www.totto.or.jp/02/index.html
E-mail: jtd@japan.email.ne.jp
電話: 03-3779-0233
ファックス: 03-3779-0206

第11回 みんなのダンスフィールド

2018年1月9日
アーツサポ東京
アーツサポ東京

「みんなのダンスフィールド」は、どのような活動ですか。

西

年齢、性別、障害の有無をこえて、一緒に身体表現を楽しんでいます。月に2回、新宿区にある戸山サンライズの体育館で、定例活動を行います。メンバーは40人ほどです。ふたりで手と手を合わせ、からだでコミュニケーションをとりながら一緒に動きを創りだす「てあわせ」を基本として、全員が対等に、一緒にからだを動かし、表現をしています。

もともと、「障害」ということを意識してはいませんでした。「てあわせ」は、人間の原初的感覚である「触覚」に基づいた身体表現ですので、どんな人でも参加できますし、むしろいろいろな人が混ざっていた方が新しい表現が生まれます。ですから、乳児から高齢者まで、そしてどんな種類の障害の人にも、加わっていただけます。

アーツサポ東京
アーツサポ東京

「障害」を意識せずに、ということですが、どのような経緯で始めたのですか。

西

20年ほど前、大学での舞踊学研究の一環で幼児と一緒に身体表現行動をした時、グループの中にたまたま発達障害の子がひとりいました。障害のある子どもの動きや表現に関心がわき、肢体不自由の特別支援学校を訪ねてみましたが、身体表現に係る教育活動はほとんど行われていませんでした。そこで、「身体の不自由と表現の不自由は関係ないので、やってみてはどうでしょう」と先生に提案して、何度かその授業を見学させてもらいました。

障害のある人の身体表現に関心が深まった時期に、大学に初めて、最重度の筋疾患の学生が入学してきました。この人と一緒に踊ってみたいと思い、頼んでみました。からだを動かすことはできないのでと、一度は断られましたが、「ボランティアと思って付き合ってもらえませんか」ともう一度頼むと、引き受けてくれ、週に一度、一緒に身体表現をしました。彼女は指先しか動かすことができませんが、その指を私の指とつなぐと、ふたりが一本のリボンとなるような大きな動きを創ることができます。セッションの度に内省を書きとめ、二人で創った作品を外部のイベントで発表する機会がありました。その反響にも、大きな手ごたえを感じました。

彼女との出会いで生まれた新しい表現の面白さを、子どもたちにも知ってほしいと思い、ちょうど指導者向け教材ビデオ制作の機会があったので、最初に身体表現をともにした子3人(当時は小学生)と特別支援学校の小学生3人の計6人で、作品を創るプロジェクトを行いました。始めは、お互いの違いにどう対応したらよいのかわからなかった子どもたちは、それぞれのからだで自由に表現する体験を共有しました。「キャンディ・レイン」という最初の作品は、6人の子どもたちがオリジナルの物語を創りながらダンス作品に仕上げていったものです。車いすの子と車いすでない子が手をつないで、遊園地のコーヒーカップのようにまわったり、みんなが交互に並んで6人でヘビになったりするシーンがあります。このプロセスを撮影して、ビデオを制作したのです。ところが、ビデオが完成してプロジェクトが終わると、6人が真剣な顔で私の前に現れて、「この活動をもっと続けたい」と訴えたのです。みなで対等に、一緒にからだを動かして作品を創る楽しさを、障害のある子もない子も知ってしまったのです。「では、月に一度くらい体育館を借りてみましょう」と始まったのが、「みんなのダンスフィールド」なのです。

特に人を集めたわけではありませんが、次第に子どもが増えていきました。すると、面白いことに気付きました。最初の6人は、障害のある子もない子もそれぞれに、一緒に身体表現をすることの心理的葛藤を乗り越えてきていたのですが、すでに一緒の世界ができているところに入ってきた子どもたちは、車いすであるとかないとか、障害があるとかないとか、年が違うとかにはまったく無頓着で、その世界にごく自然に溶け込むことができるのです。これが、あるべき姿だと感じました。社会全体がそうなると良いと思いました。「インクルージョン」の概念が日本で広がったのは、その後のことです。

アーツサポ東京
アーツサポ東京

自然なスタートから、活動が続き、定着していったのですね。

西

最初は子ども達だけの活動で、保護者は送迎役でした。活動を見学していると、どうしても自分の子どもの姿だけをずっと追い続けることになり、子どもにも親にも良くない影響が出てきやすいものです。しかし、身体表現を続けていくうちに、子どもは劇的に変化します。きらきらと輝き始めるのです。その変化をぜひ見ていてほしいと思い、「一緒にダンスをしてみませんか」と誘いました。始めは尻込みする人も多いのですが、からだを動かしてみると、解放されて気持ちがいいし、自分の子どもだけに目が向くこともなくなり、自分の子どもとも他の子どもとも、対等になれます。子どもが「お母さん、大丈夫?」と親を気遣うような、日常にはない関係性が生まれることもあります。動くことで対等な関係ができ、新しい表現が生まれるのです。現在では、父親・母親も皆、一緒に活動しています。

アーツサポ東京
アーツサポ東京

家族ぐるみの、文字どおり「『みんなの』ダンスフィールド」なのですね。

西

ダンサー、教師、研究者、福祉関係者など、さまざまな方々が、私たちの活動に興味を持って訪れてくれます。それぞれの畑で、既存のものに疑問を持っている人が多いかもしれません。初めて訪れた方にも「てあわせ」に加わっていただき、みんなで一緒にからだを動かします。

みんなのダンスフィールド
西

踊るときには、解決方法がさまざまあるような課題を設定します。そして、ひとりひとりの創造性に直接働きかけるような言葉かけを行います。皆が同じ答えに向かうわけではない中、それぞれ自由に、かつ相手を思いやりつつ一緒に、一生懸命に表現します。

一定の目標に向かって共に協力するのが「コラボレーション」ですが、私たちは「コ・クリエーション」、目標を決めずに、互いに一緒に表現しながら新しいものを創造すること、つまり「共創」を、大切にしています。人と人の出会いによって、常に自分が変わり続け、そこから新しい何かが生まれるのです。一緒に表現するメンバーが多様であればあるだけ、表現が豊かになります。「みんな」で一緒にからだを動かすことを、なによりも大切にしている所以です。

自分の中から生まれてくるものの表現が、アートです。ひとりで考えて創造するアートもあれば、人との出会いによって、自分でも意識していなかったものが内面から湧き出てくる、そんな表現の美しさもあります。創造が起こるその瞬間こそがアートだと考えています。

アーツサポ東京
アーツサポ東京

定例活動を土台とした他の活動についても、教えてください。

西

学校、子育て支援の場、福祉施設などを訪れて、年に10回ほど、「てあわせ」を中心としたワークショップを行っています。のはらでリラックスするように、円座になって座り、次々と思い思いに「てあわせ」するワークショップを「てあわせのはら」と呼んでいます。スペースさえあればどこでもできますので、屋外でも行います。たまたま通りがかった人にも参加してもらって、ひとりひとりにアートの主体になってもらうのです。思いがけずそうした体験をして、アートを見る目が変わることも少なくありません。

人と人で手を合わせて内から自然とでてくる表現を一緒に体験する「てあわせ」には、傷ついた心を癒す力があります。東日本大震災のあと毎月通っている石巻の方々とのワークショップを通じて、それを実感することができました。

イオンモール石巻での公開ワークショップ「てあわせでしあわせ」(2014)主催:表現未来の会
西

ワークショップを率いる人には、理念を共有できていることが大切です。現在は、10人ほどのメンバーがファシリテーターを務めていますが、更に人材を育てて、ワークショップを広げていきたいと思っています。

「みんなのダンスフィールド」全体の公演は、おおむね年に1回、行っています。5つか6つのテーマを決め、グループ編成をして、そのテーマを表現する即興表現の練習を重ねて、上演します。大きな流れはファシリテーターがまとめていきますが、ステージでは、ひとりひとりが、そして私とあなたとが一緒に創りだした表現が展開して、個々の輝きが十分に現わされる、まさに「共創」の作品です。

2016年には東京藝大の学生さんたちとの共創で、「Note-私の物語-」を創り、上演しました。メンバーの大半、30人ほどが出演する、30分の大きな作品でした。公演を観てくださった方から、「細かい振付を、本当に行っていないのですか?」と驚かれることが少なくありませんが、みんなのからだや動きはそれぞれに異なっていますし、細かい振付を覚えたり反復練習にエネルギーを割いたりするよりも、テーマと作品の流れが皆の間で共有されていれば、ひとりひとりの内から自由に生まれる表現ならではの、良い作品ができるのです。

公演のチラシ、プログラム、衣装、看板、美術など、すべてメンバーで分担して作っています。裁縫、書道、デザイン、絵など、お母さんメンバーなどがそれぞれの得意を活かしてくれますし、障害のあるメンバーもチラシづくりやコーディネーションなど、それぞれに役割を持って臨みます。

最近では、長年活動を続けてきた中心的なメンバー約10人で構成する「のはらぐみ」としての公演も、行っています。今年2月18日に東京芸術センターで、第2回の公演をします。第1回公演は『ようこそ、のはら!』でした。今回は『へのへのっぱら1番地』をテーマに、さまざまな生き物がそれぞれに生きて、ひとつの野原で重なり合い、ぶつかり合い、つながり合う様を表現します。

みんなのダンスフィールド「のはらぐみ」第1回パフォーマンス『ようこそ、のはら!!』
アーツサポ東京
アーツサポ東京

20年近い活動を通して、どのような手ごたえを感じていますか。

西

障害のある人は日頃、支援を受ける側に立つことが多いですが、「みんなのダンスフィールド」の活動では、「自分は社会に対して何ができるか」を自ずと意識するようになりますので、社会的使命感が生まれます。健常のメンバーにも同じような意識が根付くようで、不思議と、教員になったり、福祉分野に進んだりする人が多くいます。他方で、幼児教育を学ぶ学生が通っているうちダンスの面白さに目覚めるケースもあります。

これまでの20年で、100人ほどの人が「みんなのダンスフィールド」で活動しましたが、子どもの頃にメンバーだった人が、母親になり、子どもを連れて、帰ってくることもあります。立場を変えて活動することで、視線が広がり、かかわり方に深みが出ます。

身体表現が大好きで、これまでにない表現に出会える予感がして、始めた活動ですが、いろいろな人たちと皆で一緒にやってきて、一層好きになりました。面白い表現をもっと見たい、一緒に創っていきたい、という思いが何より大きいのです。

NPO法人みんなのダンスフィールド

ホームページ: http://www.inclusive-dance.org
E-mail: dance.field.staff@gmail.com

最新イベント報告 みんなのダンスフィールド「のはらぐみ」第2回パフォーマンス(PDF)

第10回 バリアフリーカンパニー あぴラッキー

2018年1月7日
アーツサポ東京
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あぴラッキーの活動について、教えてください。

香瑠鼓

「あぴラッキー」は、障害のある人とない人が共に助け合い、対等に自己表現する舞台活動です。隔週の日曜日に3時間、下北沢にあるオフィスルゥのスタジオで、バリアフリー・ワークショップを行っています。障害のある人とその家族、介護職員や教員など、小学生から成人まで毎回30人ほどが参加しています。

毎年1回から2回、舞台作品を製作して自主公演を行います。映像作品をつくったり、海外のダンスフェスティバルに参加したりといった活動もしています。

ダウン症など知的障害や発達障害のある人が多いですが、身体障害や視覚・聴覚障害のある人も参加します。どんな障害種別でも、だれでも歓迎です。

アーツサポ東京
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どのような経緯で、始められたのですか。

香瑠鼓

私は振付家として仕事をしているのですが、自ら公演に出演することもあります。妹が福祉関係のつながりを持っていたことから、公演を見に来てくれた人の中に学習障害の少女がいて、「弟子入りさせてください」と、友達と5~6人で志願してきました。それがきっかけで、1996年にバリアフリー・ワークショップを始めました。

障害のある子もない子も、できることがそれぞれ違うので、当初はその子らしさが出るよう、一人ずつ異なる振付けをしていました。ですが、決められた振付けを踊るのではなく、その場で人の動きに合わせるのが好きな人たちもいて、私はそれに可能性を感じました。そこで、独自の即興メソッドを開発して活動に取り入れました。弟子入りしたとき6歳だった由香さんは、活動を始めて10年以上経ってから即興ができるようになり、20年以上経った今も、グループの中心メンバーとして活躍しています。

アーツサポ東京
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どんなステージをつくっているのですか。

香瑠鼓

ストーリー性と即興性を組み合わせたダンス作品をつくることが多いです。たとえば、ロックホラー・ミュージカルでは、話すことのできないメンバーに外国のお姫様の役を演じてもらうなど工夫して、メンバー全員が出演できるステージにしています。海外では、日本らしさを味わってもらいたいという思いも込めて、『八百万の神』をテーマに、自然界のあらゆるものに神が宿る様を表した作品を上演します。『八百万』ですから、まさに多様性豊かに、一人一人の個性が輝く作品ができます。

撮影:戸成嘉則
アーツサポ東京
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いま、映画を製作中だそうですね。

香瑠鼓

プロデューサーの田中真人さんが何年か前に私たちの公演でロックホラー・ミュージカルを観てくださって、「劇場に来るのが難しい人、遠方で暮らす人も含めて、生きにくさを抱える多くの人にも、あぴラッキーのステージ・パフォーマンスのような楽しい作品を届けたい」と、映画製作を提案したのです。製作委員会が立ち上がって、主演の原田大二郎さん、友情出演のラッキィ池田さんや時任三郎さんをはじめ、たくさんの俳優が出演する映画が、11月にクランクアップしました。あぴラッキーのメンバーも中心的な役柄で活躍しています。「踊る!ホラ~レストラン」というタイトルで、今年の春ごろに公開の予定です。

アーツサポ東京
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バリアフリー・ワークショップでは、全員が家族のような、温かく一体感のある雰囲気の中、皆が楽しそうに、自由にのびのびとからだを動かしているのが印象的です。特に大切にしているのは、どのようなことですか。

香瑠鼓

人と比べず、自由にパフォーマンスすることを一番に考えています。3時間のワークショップの前半は、からだを動かすトレーニングです。ここでは規律を大切にして、ときに厳しい指導もします。その後、100人いたら100とおりの答えがでるメソッドや、お互いを受け取るメソッドを実践します。後半は空気を変えて、みんなで即興のパフォーマンスをつくります。公演前は役づくりに関する指導をしますが、それ以外の時は、自由に踊ってもらって、一人一人の内にある表現を引き出し、それを育むことを大切にしています。身体障害のある人が指を1本動かすことも表現になるよう、周囲の受け取り方も変えていきます。

アーツサポ東京
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ワークショップには、いつも7~8名の若い人たちがアシスタントとして参加していますね。

香瑠鼓

アシスタントには、「介助者でなくスターという自意識を持って、自分が輝き、楽しむことができるように動いてほしい」と話しています。皆とても熱心に、頭と五感をフルに使って活動してくれています。私のオリジナル・エクササイズのワークショップに参加して興味を持った人、ダンス・ファシリテーターの役割に関心を持つ人、障害のある人の表現に芸術性を感じるアーティストなど、さまざまです。アルバイトをしながらプロダンサーとして活動している人もいます。例えば、高齢者介護施設で働く石守俊輝さんは、障害のある人とのダンス活動を運営できるようになりたいと、地方から上京し、交通費も参加費ももちろん自腹で通って、アシスタントを務めてくれています。

ワークショップは自主事業なので、バリアフリー・ワークショップであれ、スキルアップのためのレッスンであれ、参加者の参加費がなければ運営を継続できません。ですからどうしても、経済的に余裕のない世帯の障害児や、指導者をめざしていても自活で余裕のない若者は、参加が難しくなってしまいます。遠方に住む人には、交通費の負担もあります。せめて、指導者育成に公的補助をいただけたらと思います。

あぴラッキーのアシスタントはそれぞれに経験を積んで巣立ち、ワークショップ・ファシリテーターとして、アーティストとしてなど、自分自身の活動を進めていきます。こうした人材の育成は、とても大切だと思っています。バリアフリー・ワークショップには思いもよらないハプニングがつきもので、予定どおりに進まないのが当たり前です。それを仕切れるようになったら、たいていの現場は自信をもって仕切ることができます。

「ダンスというコンテンツを使い、ステージに向けた作品作りというプロジェクトを通じて、指導者として成長させる優れた教育プログラム」と、研究者に評価いただいて、自分ではあまり意識していなかっただけに、とても嬉しく思いました。

アーツサポ東京
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手ごたえを感じるのは、どのような時ですか。

香瑠鼓

障害のあるメンバーに、突然大きな変化が訪れることは多くありません。毎回のワークショップの積み重ねで少しずつ、閉じこもっていた自分の殻の中から、外に出てきます。人によってかかる時間は異なりますが、だんだんと自発的に動けるようになってきます。

ワークショップでは、行動を指示することはあまりありません。「手伝って」と頼むことはありますが、メソッドの実践やパフォーマンスの創作をみんなで経験することで、自然に助け合いを学びます。動きが変わってきて、人とコミュニケーションが取れるようになり、場を仕切ることができるようになる人が多いです。メンバーの言葉や行動の一つ一つに、成長を感じます。

アーツサポ東京
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親御さん方からは、どんな声が聞かれますか。

香瑠鼓

「来たときは頑なに手で両耳を押さえていたのに、終わる頃には笑顔になっていた」、「ただじっとうつ向いていた子が、顔を上げた」、「久しぶりに同伴して、初めてジャンプするのを見た」など、驚いたり喜んだりするお父さんお母さんが多いです。公演でステージに立つ我が子の姿に、「自分の娘/息子が人を喜ばせることができるとは思わなかった」、「人から与えられるばかりだった子が、人に楽しみを与える側に立てるなんて」と感動する親御さんもいます。

アーツサポ東京
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香瑠鼓さんは、どんな社会を思い描いているのでしょうか。

香瑠鼓

私は振付家として、コンマ数秒の狂いも許されない、完璧を期する世界で仕事をしています。だからこそ、完璧を求めない別の世界も必要だと感じています。完璧を求める場所と、自分を解放して自由に表現できる、人と比べず勝ち負けをつけない場所の両方が、誰にでも必要なのではないでしょうか。両方が、バランスよく併存する社会になると良いと思います。

アーツサポ東京
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最後に、今後の予定をお聞かせください。

香瑠鼓

現在は、春の映画公開に向けて、編集や広報の充実のために必要な資金をクラウドファンディングで募っています。短いダンスムービーを一緒に作るなど、楽しみながら映画製作に参加していただけるイベントもいくつか計画しています。また、映画が公開されたら、上映とセットにしたミニパフォーマンスの機会をたくさん設けたいと考えています。

あぴラッキー

ホームページ: http://apilucky.jimdo.com
TEL: 03-3413-4139
FAX: 03-3414-7675
E-mail: apilucky@lou.co.jp

第9回 藝大アーツ・スペシャル2017「障がいとアーツ」

2017年12月2日

藝大アーツ・スペシャル「障がいとアーツ」は、「共に生きる」をテーマに、コンサート、ワークショップ、対談、公演、美術展示など多彩なプログラムを組み合わせた2日間のイベントです。特別支援学校の生徒、様々な分野のアーティスト、東京藝大の学生、そして毎年異なる国から招いた演奏家など、障がいの有無にかかわらず多くの人がジャンルを超えて交流する場として、2011年から毎年実施しているもので、12月2日と3日に、第7回となる催しが行われました。

今回のプログラムは、1日目がドラムのワークショップ、和太鼓およびタイの民族楽器のコンサート、人形劇団の公演、2日目がトークセッションとオーケストラ・コンサートでした。2日間で1000人を超える人々が来場し、コンサートホール内とホワイエに展示された障がいのある人と子ども達による美術作品と、ステージでの多彩なパフォーマンスを鑑賞しました。

和太鼓の演奏は、全盲の奏者・片岡亮太氏が自らの作品を、1曲は邦楽囃子演奏家・望月左太晃郎氏と、もう1曲は片岡氏が指導する筑波大学附属視覚特別支援学校音楽科の生徒との合奏で、アイコンタクト無しで見事に息の合った迫力に富む音が響きわたって、会場が一体となりました。タイから招かれた視覚障がいの演奏家は、笙に似たケーンという管楽器を巧みに操り、弦楽器、打楽器とのアンサンブルを披露しました。続いて、聴こえる人と聴こえない人が共に演じる人形劇団「デフ・パペットシアター・ひとみ」が、作品「はこBOXES」を上演しました。毎年全国で70回前後の公演活動を重ねているプロ劇団による、家族の絆を描いた人形劇の世界に、東京藝大の学生によるオリジナルの序曲とエンディングの演奏が華を添えました。

東京藝術大学

2日目は、作家の夢枕獏氏と東京藝術大学副学長の松下功教授によるトークセッションから始まりました。両名が作詞・作曲した「わたしは未来」の演奏もありました。ダウン症の書家・金澤翔子氏の揮毫で幕を開けたメインコンサートでは、特別支援学校の生徒、障がいのあるプロの音楽家、藝大フィルハーモニア管弦楽団らが共演しました。「聞こえる色」は、ドヴォルザークの「新世界より」の演奏と映像のコラボレーション。八王子特別支援学校の生徒は「メサイヤ」の「ハレルヤコーラス」を原語で合唱。「見える音」では、客席のすべての子ども―様々な障がいを持つ子も持たない子も、ステージに上がり好きな楽器の近くに思い思いに腰を下ろして、演奏を聴きます。楽器の音色と響きを体全体で感じとった子ども達は、目を輝かせ、飛び切りの笑顔を見せていました。

このイベントの企画運営を率いる東京藝術大学COI拠点「障がいと表現研究」グループの新井鷗子特任教授に、お話を伺いました。

アーツサポ東京
アーツサポ東京

今年も、盛況のうちに「藝大アーツ・スペシャル」が行われました。

新井

会場に足を運ぶこと、ステージに立つことが容易でない子どもも多いなか、みな無事に2日間のプログラムを終えることができました。毎回、それが最大の喜びです。

「見える音」でステージに上がって演奏を楽しんだ子どもたちの豊かな表情を見ると、すべての苦労が報われた思いがします。この「見える音」は子ども達の大きな楽しみなので、毎年、コンサートの最後のプログラムとして定着しています。一方の「聞こえる色」では、最新テクノロジーを使って毎年様々な挑戦をしています。今回の映像は、盲学校の生徒たちがつくったペンギンやイルカの立体作品を、本学COI拠点「共感覚メディア研究」グループが3D撮影して、アニメーションにしたものです。ペンギンの子どもが空を飛んで、親に会いに行くというストーリーです。昨年は、藝大の授業「障がいとアーツ」の受講生である美術学部の学生が盲学校に通って、先天的に視力のない子どもにも色、素材、形などを細かく指導して、生徒たちと共にカラフルな立体作品を作り上げました。会場で鑑賞した聴覚障がいのあるお客様から、映像を見て音楽を楽しむことができた、と嬉しい感想をいただきました。

学生たちにとっても、障がいの個性を知り、見えない人から「色」を学び、聴こえない人から「音」を学ぶことのできる貴重な機会になっています。

東京藝術大学
アーツサポ東京
アーツサポ東京

この催しは、新井先生が主宰される授業「障がいとアーツ」と、深くかかわっているのですね。

新井

はい。「障がいとアーツ」の授業には、美術、音楽、映像などを専攻する学生が全学から集まっています。障がい者について、あるいは障がいについて、実際にかかわらなければ何も理解できませんし、何も始まりませんので、この授業ではどんどん現場に出ていくことにしています。様々な障がいの特別支援学校を訪れては、現場の活動を知り、観察と交流から彼らのニーズを知り、芸術とテクノロジーの力で何ができるかを考えて、それを形にするという挑戦を重ねているのです。今回のコンサートでの「ハレルヤコーラス」も、藝大出身の声楽家たちが共に八王子特別支援学校を訪れて、生徒にボイストレーニングや発音練習を行った成果です。知的障がいのある子どもには外国語と日本語の言葉の隔たりが少なく、原曲の歌詞で歌うことが他の人より得意なのです。芸術の場面では、日頃「障がい」と呼ばれるものが、不便どころか、人より秀でた能力になり得ることを目の当たりにし、私も学生も支援学校の教育現場から多くを学んでいます。障がいのある人々との交流から新たな芸術表現の可能性を見出す学生も少なくありません。学生ができるだけたくさんのチャンスを持てるよう、出会いの場を一つでも多くしてきたいと思っています。

特別支援学校に訪問を受け入れてもらうのは簡単ではありませんが、何回も通い続けて先生や生徒との交流を深め、やっとの思いで学校との関係をつくるケースもあります。訪問を重ねるうちに、この障がいにはこんなものがあったら便利という気づきから、先端技術を生かした補助機器が生まれることもあります。今回のコンサートで筑波大学附属聴覚特別支援学校小学部の児童が用いた、音量を視覚化するアプリもその一つで、藝大とCOI参画企業とが共同で開発したものです。音量が視覚的に表示されるiPad画面を見ながら小太鼓を演奏することで、児童たちは自らの楽器とオーケストラとの音量のバランスを保ちながらアンサンブルすることができました。このように藝大は、障がいのある子ども達が芸術により親しめるようにするための新しい楽器や補助機器の研究開発、テクノロジーの実用化、プログラムの事業化を目標にもしているのです。

東京藝術大学
アーツサポ東京
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まさに東京藝大COI拠点ならではの、芸術とテクノロジーの融合ですね。「藝大アーツ・スペシャル」は毎年、小学生からプロのアーティストまで多様な人が参加する、音楽から美術、パフォーミングアーツ、トークと複合的なイベントですが、以前からそうした構成だったのですか。

新井

はい、東京藝術大学奏楽堂を音楽・美術・映像の融合した芸術空間として、「共に生きる」のスローガンのとおり、いろいろな障がいのある人とない人が一緒にステージに立ち、一緒に楽しむことがコンセプトですので、自ずと多様性のあるプログラムになります。特に、様々な障がい種の特別支援学校の生徒の参加は、当初から大切にしてきていることの一つです。

多様性という意味から、外国のゲストも毎年お呼びしています。初期は、ベトナム、韓国などアジアから招いていましたが、昨年は地球の裏側のチリから、作曲家・ギタリストが来日くださいました。2012年にクラリネットのソロ奏者として出演した韓国の李相宰(イサンジェ)氏は、ご自身が創立した視覚障がいのある音楽家とない音楽家による室内オーケストラHEARTS of VISION CHAMBER ORCHESTRAを率いて、2014年に再び来日し、演奏くださいました。このときのアンコールで、ステージと客席のすべての照明を落とした暗闇の中での演奏が披露されたのです。そのとても大きなインパクトから、晴眼の演奏家と視覚障がいのある演奏家でオーケストラを結成し、全員が楽譜を見ずに真っ暗なステージで演奏し、観客にも真っ暗な会場で鑑賞してもらう「ミュージック・イン・ザ・ダーク」のプロジェクトが生まれました。COI拠点の事業として、全国のホールなどにも出向いて、実施しています。

「障がいとアーツ」の受講生と障がいのある人々の芸術団体とのコラボレーションも、毎年の恒例です。2013年には音楽学部邦楽学科の学生が二手にわかれて、一方は謡を視覚障がい者の演劇グループに、他方は仕舞を聴覚障がいのある10代のグループに、それぞれ指導に通い、共に稽古を重ねて、共演しました。この学生達の指導で、当日の来場者が参加する地謡と囃子の体験ワークショップも行いました。日本の伝統音楽・伝統芸能は、歌い演じる時の「型」が厳格に定まっていて、西洋音楽のように感情による揺れが無いので、見えなくても聴こえなくても型を守れば完璧に合わせることができるという特徴があります。西洋音楽との大きな違いとして気づきました。こうした数ヶ月にわたるワークショップと合同演奏のコラボレーションは、一流の芸術家を目指して修行を積みつつ大学に通う学生が多い本学ならではのプログラムだと思います。学生たちも、障がいのある人々に指導し、共演することで、自身が専門とする音楽の理解を深め、演奏家としての幅を広げることができています。

東京藝術大学
アーツサポ東京
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7年にわたって「藝大アーツ・スペシャル」を積み重ねてきて、変わったことと変わらなかったことは、それぞれ何でしょうか。

新井

先ほどもご紹介した「共に生きる」というコンセプト、芸術を通して皆が共に生きる社会に近づいていこうというポリシーは、変わりません。また、本学にふさわしい質の高い音楽性を保ち、妥協することなく完成度の高いステージを、プロの力を借りつつ作り上げることも、常に大切にしています。

変わったことのうち最も大きいのは、一般の人々の意識でしょうか。初期の頃は、障がいに関することは口にしない、触れずにおく、といった空気がありましたが、そうしたタブー視のようなものが、近年はほとんどなくなったように感じます。関心の高まりに連れてプログラムの規模が次第に大きくなり、ワークショップに積極的に参加する人も増えてきました。メディアに取り上げることも多くなり、学内での認知もようやく高まってきました。そうした意味で、これからが大切だと考えています。3年後には東京パラリンピックが開催されますが、更にその先に向けて、人と人の出会いの場を作り続け、芸術をとおして共生に挑み続けていきたいと思っています。

「東京藝術大学 演奏藝術センター」

ホームページ: http://www.geidai.ac.jp/
TEL: 050-5525-2465
FAX: 03-5685-7728
E-mail: arts.special@ml.geidai.ac.jp

第8回 ポコラート

2017年12月1日

アーツサポ東京
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ポコラートの事業について、教えてください。

嘉納

ポコラートは、地域生活者に開かれた公共の場所である「アーツ千代田3331」が、千代田区の文化振興課と共催しています。年齢、性別、障害の有無、経験、社会的立場などあらゆる区別や差異の垣根を超えた、誰でも参加できる芸術文化の活動です。これまでに、2歳から94歳までの、さまざまな社会的な立場の人が応募して下さり、その中に、障害を持つ方も多く含まれています。障害者の文化関係の事業としては、福祉からのアプローチでないことが、珍しいかもしれません。

「ものを作る」という芸術文化の行為では、どんな人もフラットにかかわることができるのです。スポーツでは障害者には「できることの差異」がどうしても生まれてしまい、健常者と区分されざるを得ないのですが、芸術文化ではオリンピック、パラリンピックと二つに分ける必要はありません。東京オリンピック・パラリンピックの際に、障害者と健常者の区別なく芸術文化の催しが開かれて、一緒に楽しめたら素晴らしいと思います。2020年に向けて、スポーツにできないことを補完する意味でも、芸術文化の活動が増えていくと良いと思います。

ポコラートは、単に展覧会を開催する活動ではありません。毎年冬に全国から作品を公募し、春に全応募作品を一挙に公開します。審査員の方々のみならず、来場したすべての方にひとり10作品ずつ投票してもらって、入選作品を決めます。100点余りの入選作品を紹介する「全国公募展」を夏に、さらに、審査員・来場者による最終選考を行って、8人前後の受賞者の作品を紹介する「ポコラート全国公募受賞者展」を冬に開催します。こうした年間をとおした時間の流れの中で、応募してくれたひとりひとりのドラマが進行していくのです。展覧会などイベントだけではなく、彼らと人間関係を築くプロセス自体を大切にしています。

アーツサポ東京
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審査員は、どのような構成ですか。

嘉納

さまざまなジャンルの美術の作家、学芸員、写真家などに加えて、デザイン・広告業界の方などにも加わっていただいています。ポコラートに「審査」は本当は適さないのではと、いつも悩んでいます。どうしてもそれぞれの審査員の感性で作品を選んでいただくことになります。それであればできるだけ幅広い価値観でと、毎年、異なる方々、とくに障害者の美術を見慣れていない方に、審査をお願いしています。

芸術は本来、社会の規範に異議を唱えるもののはずです。その意味で、美術界だけで閉じこもって考えていても価値の変容・変革はなし得ません。美術の形態は、書体、ストーリーなども含め、今どんどん広がっています。ポコラートへのかかわりを通じて、審査員にもいろいろなことを感じ、考えてもらえたら、そして多様性の概念がいろいろな芸術ジャンルに広がっていったら、と思っています。

アーツサポ東京
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そういう意味では、審査員を選ぶのも重要なプロセスなのですね。次に、ポコラートのこれまでの歩みを、教えてください。

嘉納

「アーツ千代田3331」がオープンした2010年に、千代田区の障害者アート支援事業として委託を受けた、視覚障害を持つ作家の方と作品を作るワークショップが始まりです。その後、障害者に限定した全国公募展第1回を行いました。応募作品のレベルが高かったことから、翌年から健常者にも門戸を開き、誰もが応募できる公募展になりました。

4年目の2014年に、東京での展覧会に来場しにくい遠方の方々にもポコラートの活動を広く知っていただきたいと、全国巡回展を行いました。青森県十和田市、秋田県大館市、高知県高知市で展覧会を開きました。巡回した地域からの応募が大幅に増えるなど、成果が表れました。

また、翌2015年には、イタリアの作家3人の作品を、日本人の作品と並行して紹介する対話展を開きました。企画展はポコラートの活動にリズムを与えます。資金集めは簡単ではありませんが、来年もまた開きたいと考えています。

今年、公募の部門を変更しました。従来は「作品部門」と「ワークショップ部門」の二つに分けていましたが、ワークショップ部門では、健常者による教育プログラムの応募がほとんどでした。そこで、今年からこれを「形にならない表現部門」と改めて、『行為』を募ることにしたのです。結果として、面白い作品がたくさん集まりましたし、応募の半数が、障害を持つ人によるものでした。

その一つは、重度の障害を持つ若い男性の作品です。彼はアトリエ活動を行う施設に2年前に入所しました。そこで巡り合ったふたりの支援員が、彼の発する言葉を『表現行為』として理解し、寄り添うようになりました。理解者を得ると、彼にできることがどんどん増え、コミュニケーションをとれるようにもなっていったそうです。この支援員が、彼の言葉を『行為』として意味づけ、音声と映像にして応募してくれたのです。私たちも彼の独特の言葉の面白さに魅かれました。その彼が、公募展の会場で『行為』を実演してくれたのです。誰も実演をできると思っていなかったので、皆とても驚きました。この男性が、初の「形にならない表現部門 最優秀賞」の受賞者です。

今年はさらに、グループホームの日常を漫画にした支援員の作品が、審査員賞に輝きました。彼は6年前から、ホームの現場で起こることを題材にした漫画を作り続けていましたが、審査員のひとりであるクリエイティブディレクターが、「その場にいなければ作ることができないもので、社会に強烈なメッセージを伝えている」と高く評価したのです。支援員の受賞は初めてで、これも嬉しいことです。

アーツサポ東京
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応募者ひとりひとりに、物語があるのですね。

嘉納

はい、ポコラートのプロセスから、たくさんの物語が生まれます。応募、そして入選を経て、人生が変わる人も少なくなりません。福祉や医療の世界、あるいは経済活動では、人と人との間に利害関係があり、提供する側とされる側がはっきり分かれざるを得ませんが、芸術は対等な人間関係をつくれる場、対等な人間どうしとしてつながることのできる場です。たとえば、デイサービスしか行く場所がなく、支援員や医師などに人間関係が限られて、いつも「与えられる側」の立場に立たされている人が利害関係のない人と対等な人間関係をつくることができたら、大きなインパクトになります。ポコラートとの付き合いをきっかけに世界が広がり、自身が開放的になって、社会性が身につき、恋人ができたり、就職できたりといった、普通の人生の幸せを初めて味わうことができるようになった人もいます。

私は人間に興味がありますので、ひとりひとりと出会って、交流することを楽しんでいます。知的障害の場合は支援員の方などが応募してくることが多いのですが、精神障害を持つ方など個人で応募する人には、大きな不安や戸惑いがあるようです。それで自ずと、私たちと頻繁にコミュニケーションをとることになります。毎日のように電話してくる人、定期的に訪れてくる人もいます。病院など周囲との関係の悩みや問題を相談してくる人もいて、対応が難しいこともありますが、お付き合いしているうちに見えてくることもいろいろとあります。

アーツサポ東京
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芸術活動としてのインパクトは、どうですか。

嘉納

受賞を励みに創作活動を続ける人、ステップとして発展させる人は多いですが、一方で受賞は特に喜びではなく、ポコラートに応募し、私たちとのいろいろなやりとりを経て、展覧会に進んでいくプロセス自体を楽しみに次の作品づくりに向かうという人も少なくありません。それもまた嬉しいことです。

ポコラートと同じように、障害の有無を問わずオリジナリティの強い面白い美術作品を選ぶ顕彰制度に、岡本太郎賞があります。ポコラートで受賞した障害者に、岡本太郎賞への応募を勧めたことがありますが、偶然同じ年に受賞した健常者の作家さんとふたり揃って、みごと入選しました。ふたりとも男性で年代も近いということもあって、良いライバル、仲間として関係が続いています。

障害のある方の人は岡本太郎賞に入賞した後も、ポコラートに応募し続けています。ポコラートの応募から展覧会までの一連の流れとそこに生まれる人間関係を、楽しんでくれているのだと思います。

ポコラートでは特に販売活動を行っていませんが、たまたま展覧会を観た海外のコレクターが、帰国後に作品の購入希望を寄せてきたことがあります。このときは売買契約や輸送手続きなど、作家を手伝う形で販売にかかわりました。自分の作品が思いがけなく海外に渡って展示されることになり、収入にもつながったことは、当人にも周囲の人々にも大きなインパクトだったと思います。

アーツサポ東京
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嘉納さんはポコラートにかかわって4年目になるそうですね。活動を続けていて、難しいと思うのはどんなことですか。

嘉納

一つは、親御さんとのやりとりです。「賞」とは、実は“健常者”の世界の制度の中の規範と制約のシンボルです。必要としているのは周囲の人々で、応募者は同じ価値を見出していないという場合も少なくありません。健常者は社会規範にとらわれがちですが、障害者には表現することがコミュニケーションの手段であり社会とつながることという側面があると思います。本人は何とも思っていないのに、親御さんなど周囲の人が世間の偏見を気にしたり、コンプレックスや優劣の意識に悩んだりすることも多く、親御さんとのやりとりには注意を払います。

もう一つは、ポコラートの連続性に関することです。今の時代、情報は一過性の消費物としてとらえられがちです。企画展はニュースバリューが高いですが、毎年公募展を繰り返すポコラートの連続性の価値は理解されにくいのです。「初の○○」などアピールできるところを作りますが、企画展に比べると、美術雑誌にも一般メディアにも関心を寄せてもらうのが難しいです。

アーツサポ東京
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最後に、今後の予定をお聞かせください。

嘉納

第8回の応募作品の一挙公開が、2018年2月23日(金)から25日(日)に開催され多くの方にご来場いただきました。

第8回で1228点の中から選ばれた入選作品を124点を2018年7月中旬から8月上旬まで「ポコラート全国公募展vol.8」で展示します。今年も、どんな新しい驚きの表現に出会えるかご期待ください。

何卒よろしくお願いいたします。

「ポコラート」

ホームページ: https://pocorart.3331.jp
TEL: 03-6803-2441(代表)
E-mail: pocorart@3331.jp

第7回 ホットジェネレーション

2017年11月17日

アーツサポ東京
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ホットジェネレーションのご活動は、どのような経緯で始まったのですか?

鳥居

ボランティア・グループとして活動を始めたのは、1999年12月です。普通の子どもの習い事って、安くないですよね。経済的に余裕のない家庭で習い事に通えない子、発達障害などで集団に溶け込みにくかったり、一般の習い事に通いにくかったりといった子ども達にも、好きな芸術に触れる機会を作ってあげたいと思いました。それで、趣旨に賛同してダンスや歌を指導してくれる専門家を集めて、一緒にボランティア活動を始めたのです。

当初は障害のない子の方が多かったのですが、障害のある子も通えるところだということが、障害児の親たちの間で口コミで広がって、障害のある子が増えていきました。スクールの場所も、最初は品川だけだったのですが、たとえば、藤沢在住でダウン症児のコミュニティでも活動しているメンバーから指導に来てほしいと頼まれて、江ノ島で会場を借りてスクールを開くようになりました。そのような経緯と同様に、主に口コミで活動が広がり、品川、藤沢の他にも、府中、渋谷、恵比寿と、だんだんとスクールが広がっていきました。

アーツサポ東京
アーツサポ東京

ホットジェネレーションは障害のある子どもも一緒に出演するミュージカル・グループとして知られていますが、最初からそこに焦点を当てていたわけではなかったのですね。

鳥居

はい。今は子どもも成人も障害のある人の方が多いくらいですが、特に「障害のある人」だけを募っているわけではありません。障害のないメンバーは3割程度ですが、その中には、幼少よりホットジェネレーションにてダンスと歌のレッスンを受け、 現在、ホットジェネレーション作品の主要キャストとして活躍する他、外部の舞台作品にも出演している社会人・学生など、多様なメンバーで構成されています。

アーツサポ東京
アーツサポ東京

運営は、どのようにしているのですか。

鳥居

スタート時からずっと、ボランティア・グループとして活動しています。長い間、任意団体でしたが、2015年に一般社団法人になりました。スクールに通う人の月3000円の会費収入で運営しています。スクール生は定額の月会費を収めさえすれば、どの会場に何度通ってもよいのです。いま全部で、140人ほどのメンバーがいますが、就学前の子どもから中学生までが3割、高校生以上が7割といった比率です。

アーツサポ東京
アーツサポ東京

全部で週に7回、スクールを開いているのですね。100人以上が通ってくるというと、指導者の数も必要ですね。

鳥居

はい。ダンス、音楽、演技、美術など、それぞれ専門家に講師をお願いしています。

また、公演でも、振付、指導、作曲など、たくさんのプロのアーティストに協力いただきます。

皆さん、障害のある子どもも含めて皆で一緒に過ごすことで癒される、一緒に作品を作り子ども達が舞台で輝く姿を見ると大きな刺激を受けると、喜んで活動に参加してくださいます。「ホットジェネレーションで儲けるつもりはないから」と、皆さんボランティア価格でかかわってくださっているのです。

アーツサポ東京
アーツサポ東京

通ってくる子ども達の様子は、いかがですか。

鳥居

はじめは、尻込みしている子どもも少なくありません。親にとっても、健常児と一緒に活動できる場として期待がある反面、不安感も大きいようです。私たちは、どのメンバーも、ありのままで受け入れてもらえると感じて、安心できる場であるよう、心がけています。

日頃の練習と並んで、発表の機会も大切にしています。公演に向けてのオーディションは行いません。希望者は全員、出演できるのです。その代り、一緒に良い舞台を作ろう、一緒に頑張ろうと励まして、時には厳しく指導します。舞台に上がることを怖がっていた子どもも、一度公演を体験すると、舞台の喜びを知って、目覚ましい成長を見せてくれます。次の公演という目標が目の前にできるので、厳しい練習もがんばれるのです。

障害のないメンバーの中には、幼少の頃から参加し、成人してからも続けている人が少なくありません。ホットジェネレーションでたくさん刺激を受け、成長できたことに感謝し、恩返ししたい、自分にできる社会貢献をしたいという気持ち、さらに、次の世代につないでいきたいという使命感も、強いようです。

アーツサポ東京
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公演はどのくらいの頻度で行っているのですか。

鳥居

年に3回公演を行っていますが、基本的に毎回新しい作品をつくります。現在レパートリーとしては5つのシリーズがあって、それぞれ2~3作品を持っています。

毎年1回は、国際NGOなどに協力して、その活動のPRになるような作品をつくります。例えば昨年は、東ティモールを支援するNGOの活動について、インドネシアからの独立前後の子ども達のストーリーをミュージカルに仕立てて、演じました。現地の様子についてNGOのメンバーから話を聞き、与えられたテーマについて私たちで調べて台本を書いて、楽曲やダンスでミュージカル作品につくり上げていきます。

こうした活動は、ホットジェネレーションの社会貢献活動と位置づけています。日頃、周囲から助けてもらうことの多い子ども達にとって、ボランティアをする側にまわれることは、特に大きな喜びであり、次へのモチベーションにもなります。

同じ趣旨から、復興支援の物販もしています。東日本大震災で大きな被害を受けた石巻に始まり、熊本地震などの被災者の支援のために、公演のたびに、会場ロビーで現地から調達した物資を販売して、売り上げを現地に寄付しています。これも、メンバーが社会貢献をする側にまわれる大切な機会です。

アーツサポ東京
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お話を伺って、意義の深いご活動だということがわかってきました。課題と感じていることがありますか。

鳥居

私たちは声高に「障害のある子たちのための」とうたっていませんし、公演の宣伝もあまりできませんが、何より、芸術性の高い舞台を目指していますから、公演に来てくださったお客さんが何かを感じとって、次の公演にはお友達や知人も誘って足を運んでくださることに期待をかけています。

これまでは漠然と、自分たちが大切と思っていることをしていけば良いと思って活動してきましたが、次第に、この活動の意義を知ってもらってシステムを広げていきたい、ホットジェネレーションを次の世代に引き継げるようがんばっていきたいと思うようになってきました。どうすればそれができるか――これがいま、最大の課題です。

アーツサポ東京
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ホットジェネレーションの今後の展望を、お聞かせください。

鳥居

障害のある人とない人が互いに刺激を受け合いながら、一緒にダンスや歌を稽古して、一緒に舞台に立つこと。プロのアーティストや指導者に楽しみつつ協力してもらうこと。そして、思いやり合い、寄り添い合う心。こうしたホットジェネレーションのオリジナルな価値が、これまでの長年の活動で、自然と出来上がってきたように感じています。

公演を通じて、観客にそれを感じてもらって、次第に社会でそうした価値観が広がっていって、次の世代に繋がっていくことを願っています。

そのための広報活動の一環として、練習と作品づくりのプロセスを映したドキュメンタリーDVDを作ったりしていますが、もっと工夫が必要だし、そこに労力をかけていけたらとも思っています。

アーツサポ東京
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最後に、ホットジェネレーションの活動に関心を持つ人々に、メッセージをお願いします。

鳥居

まず会場に足をお運びいただき、公演をご観劇いただくことが一番だと思いますが、日ごろの活動はブログなどでも紹介しておりますので、是非ご覧いただければと思います。また、スクールは随時見学や体験レッスンを受け付けておりますので、お気軽にお声かけ頂き、お越しください。

今後はさらに他団体の方々とも協力し合い、ホットジェネレーションとしての活動を多様に広げていきたいと考えています。

「ホットジェネレーション」

ホームページ: https://www.hot-generation-ent.com/
オフィシャルブログ: https://ameblo.jp/hg1999/
E-mail: info@hot-generation.org

第6回 2017アジア・パラアート-書-TOKYO 国際交流展

2017年11月8日

11月8日から12日まで、豊島区のとしまセンタースクエアにおいて、東アジア3カ国を中心とする障害のある作家による書作品の展覧会が開催されました。

この展覧会は、これまでも「パラアート展」として障害のある人々の美術・書などの作品の展覧会を開催してきた公益財団法人日本チャリティ協会が、4回目の国際展として、書作品に絞って開催したもので、豊島区が共催しました。

会場には、日本、中国、韓国、その他の国で書を創作する作家の作品約100点が展示されました。作風は多様で、作家の個性や思いが表わされたものも多く、墨書の文化の幅広さと奥の深さが感じられます。

日本から紹介された50人の作品の中には、「パラアートスクール」で創作された書も含まれています。「パラアートスクール」は、日本チャリティ協会が30余年にわたり続けている障害者カルチャースクールです。障害のある人が絵画、マンガ、書など、思い思いの創作活動を、隔週の日曜日に専門家のアドバイスを受けつつ行う場で、ここに通うことを楽しみにしている人も多いそうです。

8日午前には、開会式に続いて、オープニングパフォーマンスが行われました。韓国、中国、日本の書家4人が、詰めかけた100人以上の観客と各国の関係者の前で、大きな作品を揮毫しました。韓国の作家は義手で、中国の作家は口に筆をくわえて、日本の作家のひとりはヘッドキャップに筆を取り付けて、それぞれ展覧会に寄せる思いを込めた書を、渾身のパフォーマンスで披露しました。最後にダウン症の書道家が「共に生きる」と力強く揮毫して、会場を沸かせました。

パフォーマンスが終了すると、展覧会場は、待ちかねていた来場者らでたちまち一杯になりました。車いすの人も多く、また、展覧会のために韓国と中国から来日した関係者や作家と、通訳を介して懇談する人々の姿も見られました。会場には、各界著名人による書作品を集めた特別展が併設されています。来場者は、作品の写真を撮ったり、話し合ったりしながら、ゆっくりと足を運び鑑賞していました。


展覧会や活動状況などについては、ホームページをご参照ください。

公益財団法人日本チャリティ協会

http://www.charitykyokai.or.jp/shogai
電話: 03-3341-0803, FAX: 03-3359-7964

第5回 クリエイティブ・アート実行委員会

2017年11月14日

撮影:青木司
振付:Adam Benjamin『OPEN STATE』
アーツサポ東京
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どのような経緯で活動を始めたのですか。

伊地知

1989年にロンドンで、ヴォルフガング・シュタンゲ氏に出会い、学校やデイセンターでの障害のある人を含むダンス・ワークショップを見学して、深く感動しました。さっそく彼を日本に招き、東京大学で講演をしてもらう他、地域でワークショップをしてもらうなどした後、1990年に、障害のある人もない人も共に表現するアート・ワークショップを始めたのです。

アーツサポ東京
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当時は、障害のある人の芸術活動の場として、いま以上に希少な存在だったのではないでしょうか。それから20数年、どのように活動を進めてきたのですか。

伊地知

障害のない人が障害のある人を指導する、というのではなく、お互いが学び合う、触発する表現の場としてのワークショップを、海外のスペシャリストを招いて行いました。回数を重ねていくうち、それがどのように結実するかを皆で具体的にイメージできることも大切だと考えて、障害のある舞踊家を含む海外のダンス・カンパニーの招へい公演を何度か行いました。イギリスで初の身体障害のある舞踊家のいるダンス・カンパニーCandocoも、1999年と2006年に招いています。

また、1993年から毎年、サマー・アート・スクールを開いています。ダンス、音楽、演劇、絵画、造形など、それぞれのワークショップで、午前がファシリテーションに興味のある人達、午後、障害のある人達との合同レッスンというものです。

ファシリテーターの育成には、とくに力を入れています。1994年から2008年まで、半年間ほどの期間のコミュニティ・アーティスト・トレーニング・コースを継続してきました。プロのダンサーがファシリテーター役を務めることができるよう、ダンスの他にコミュニケーション・スキルや教育学の知識を学んでもらう育成システムなども、日本では必要なのではないでしょうか。特に大学の舞踊科などにコミュニティ・ダンス・コースなどがそろそろ出てきてもいいのではないかと思います。

20年以上続ける間に、幸い、優秀なファシリテーターや障害のあるアーティスト達が育ち、皆それぞれに活躍するようになりました。コミュニティ・アーティスト・トレーニング・コースに参加してイギリス留学を志すようになった聾のダンサーには、コミュニティ・ダンス科のあるカレッジも研修先として紹介しましたが、彼女はいま、英国で振付やダンスのファシリテーションを行いつつ、日本でも、劇場に委嘱されるなどして作品を作っています。他にも優れたダンスのファシリテーターが活躍しています。視覚障害のある人とない人とによる造形ワークショップから、視覚障害のあるアーティストがふたり生まれてきたりもしています。

参加者を募集して開くワークショップやサマー・アート・スクールの他に、「響と踊ろう」というプロジェクトは後述するインテグレイテッド・ダンス・カンパニー響-Kyoが行なうダンス・ワークショップですが、公募型の通常のワークショップの他に、アウトリーチ(出前ワークショップ)も行っています。私達が特別支援学校や施設を訪れて、生徒や利用者と一緒にダンスをします。学校の先生方や施設のスタッフの方々などがダンス・ワークショップの考え方と手法を学ぶ機会にもなっています。障害のある人が身体表現の機会を持つためには、ファシリテーターがとても重要な役割を果たすので、こうした活動は今後も続けていきたいと思っています。

撮影:青木司
振付:Adam Benjamin『OPEN STATE』
アーツサポ東京
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そうした長年のご活動の積み重ねから、「インテグレイテッド・ダンス・カンパニー響Kyo」が生まれたのですね。

撮影:青木司
振付:Didier Theron『Les gens de tokyo』
伊地知

これまで参加体験型のいわゆるワークショップを中心に活動をして、時々、海外のインテグレイテッド・ダンス・カンパニーなどを招聘したり、日本の若手振付家達と障害のある人達との単発のダンス公演プロジェクトを行ったりしてきました。振付家や演出家は、障害のある人たちとの活動から刺激を受けて、新しい表現の方法を探し、見つけていきます。そこに、新しい可能性を感じ、恒常的に活動するダンス・カンパニーをつくりたいと考えたのです。プロのダンサーと身体障害のある人達とで構成されるカンパニーとして、2014年に「響」を立ち上げました。将来的にはさまざまな障害のある人にも加わってもらいたいと思っていますが、まずは、身体に障害のある人と障害のない人10人くらいでスタートしました。毎年、異なる振付家に作品を委嘱して、上演しています。

今年の2月には、ディエィエ・テロン氏に構築的コンテンポラリー・ダンス「les gens de tokyo 東京の人々」を、スズキ拓朗氏に宮沢賢治の小説を演劇的なダンス作品に仕上げた「パワポル」を作ってもらって、都内の文化施設でダブルビルで上演しました。作風の違いが互いを引き立て合う、面白い舞台になったと思います。2日の公演とも観客席は満員で、たくさんの人に喜んでもらえましたし、テレビや新聞にも取り上げられました。だんだんと、多くの人に「響」を知ってもらい、関心を持ってもらえるようになってきたと思います。

今年はまた、9月にインテグレイテッド・ダンスの盛んなイギリスでツアーを行いました。ブリストルとプリマスの劇場で、アダム・ベンジャミン氏振付の「Open State」と岩淵多喜子氏振付の「Border」を再演したのです。どちらの公演も大きな反響を巻き起こし、手応えを得ました。次は、ディディエ・テロン氏の母国であるフランスで、フェスティバルに参加して彼の作品を上演できたらと考えています。地方公演も増やしたいのですが、なかなか手がまわっていません。

アーツサポ東京
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運営のご負担はさぞかし大きいことと思います。もっとも苦労されているのはどんな点ですか。

伊地知

月並みですが、資金繰りです。企業の協賛金が、リーマンショックで一気にしぼんだまま、戻りません。近ごろは企業自身が文化事業をメセナ活動として展開する企業が増えてきましたね。クリエイティブ・アート実行委員会とダンス・カンパニーの運営を、経済的にどう成り立たせるかは、いつも一番の課題です。

日本の助成制度は、プロジェクト支援で経費の半額助成といった形で自己資金を持たないと運営できないケースがほとんどです。そういう意味で、最近の文化庁の委託事業制は自己資金を求められないありがたい制度なので、他の助成制度も委託事業制に移行してもらえることを願っています。イギリスなどの助成制度でうらやましいのは、運営助成金が芸術団体に提供されることです。そのことによって家賃や光熱費の負担を軽減し、リサーチ活動などで団体の基盤を固めたうえで、メンバーをしっかり育成していくことができるのです。

障害のある人がダンサーを志す場合、ダンスの基礎が身についている人は少ないので、基礎から訓練することになります。また、ダンスのボキャブラリーを作っていくには長い時間がかかります。決して収益のあがる活動でないことは明らかなのですから、人を育て、団体を運営していくファンダメンタルな部分に投資しなくては、この分野は育ち得ないのです。日本でも文化の基盤整備に投資してほしいと思います。

撮影:青木司
振付:岩淵多喜子『Border』
アーツサポ東京
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最後に、めざすところと、今後のご計画をお聞かせください。

伊地知

近ごろ美術分野では、障害のある人の作品が「アール・ブリュット」などとして紹介され、独自の面白さが認められるようになってきました。パフォーミング・アーツでも、独自の魅力を提示していかれたらと思います。障害のある人もない人も皆が互いに学び合いながら、それぞれの特徴を活かした面白い作品をつくっていきたいと思います。なにより私自身が、面白いダンスを観たいのです!

来年の3月3日と4日には、吉祥寺シアターで第5回公演を行います。今年と同様、海外と国内のふたりの振付家に作品を委嘱しています。今年は、日本からは注目の若手振付家である平原慎太郎さん、海外からはスペインで活動しているThomas Nooneという方を招聘して作品をつくります。11月末からリハーサルを始めます。期待にこたえる作品になると思います。今後も人々に感動して頂けるダンス作品をつくっていきたいし、「こういう表現があるのか!!」といった思いがけない試みなどもしていきたいと思います。


最新の公演情報などについては、Facebook, Twitterをご参照ください。

「クリテイティブ・アート実行委員会」(ミューズ・カンパニー)

Homepage: http://www.musekk.co.jp/
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Twitter: https://twitter.com/artmusekk
TEL: 03-6426-5182 (10:00-18:00)
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E-mail: musekk@aol.com

第4回 手話パフォーマンスきいろぐみインタビュー

2017年10月30日

アーツサポ東京
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「きいろぐみ」の活動について教えてください。

多くの一般の聴こえる人に、ろう者と手話の立場から夢を配るエンターテイメントとして、手話パフォーマンス活動を行っています。

手話で話すと、音声言語より、目の前に立体的に情景が浮かびやすいと思いませんか?手話は、表現力に富んだ魅力的な言語です。舞台でそれを表現することで、その特性を、多くの聴こえる人たちに知ってもらいたいと思って、活動しています。

私たちは、聴こえない人は、たとえば、日本で暮らす外国人がそれぞれの言葉を話しているのと同じ「言語的少数派」だと考えています。多くの聴こえる人が、ケンカしたり仲間とはしゃいだりするのと同じように、聴こえない人たちも、同じように手話を使って、様々な会話を交わし、怒ったり笑ったりしているのです。手話という言語世界を持ち、聴こえない人たちは、聴こえる多くの人たちと同じように街で暮らしているのです。私たちは、そう考えるろう者と聴者が共に活動しているのであり、ろう者も普通の人と同じだと思っていますし、人としての大きな枠で考えた時、障害者としては位置づけていません。そんなごく普通の感覚を持ったろう者が、自分たちの言葉でごく普通に表現活動すること、その姿こそを、多くの人に見てもらいたいと思っています。

アーツサポ東京
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なるほど、ですね。活動を始めたのは、どんな経緯からですか?

第1に、先ほどもお話したように、手話が視覚的な豊かな言葉であり、それを見た聴こえる私たちもまた、その高い芸術性に感銘を受けることができるということですね。これを多くの人に伝えることは、聴こえない人だけでなく、聴こえる人にとっても大きな宝物になると感じたからです。

2番目に、かつて手話通訳を手掛けたことのある舞台での経験から、気づいたこともあります。あるロック・アーティストのステージで、私が手話通訳をした時、終演後にアーティストから「僕のステージじゃなくなってしまった」と言われたことがあります。お客さんがアーティスト本人でなく通訳者の方に目を向けてしまい、アーティストの方が目立たなくなってしまった面があったのだと思います。私はこの時、手話を舞台に付けるということは、演出意図をも揺るがす大きな意味を持つものなのだと感じました。

3つ目に、女性講談師の舞台の手話通訳をした時も、次のようなことがありました。通訳を見て、感激した聴こえないお客さんから「手話のおかげでよくわかって、とても楽しかった!」とうれしい感想をもらったのですが、同時に「でも、講談師のことは、顔さえ良く覚えていない」と言われたのです。

そんな経験をする中、それであれば、演じる人と手話をする人を同一にすれば良いのではと、自分たちでグループを立ち上げました。1989年のことですから、もう28年間も活動していることになります。

アーツサポ東京
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具体的には、どのような活動をしているのですか?

毎年、冬にはライブハウスでの手話ライブ公演、夏にはミュージカルの舞台を行っています。それ以外の時期にも月に1~2回、ステージが入ります。手話パフォーマンスでは、演者の手の語りが見える300人程度までの客席数の会場が適しますので、ホールの場合はそのくらいの規模の会場を探すように心がけています。お客さんともっと親密に触れ合いたい場合は、ライブハウスなども使わせてもらいます。先日は、三軒茶屋のライブハウスで「ハッピーハロウィンパーティー」を開きました。聴こえない方と聴こえる方がおよそ半数ずつ来てくださり、手話の分かる方は手話の歌やせりふを、手話の分からない方も、音声で内容のすべてを楽しんでいただいています。

公演ごとに毎回、オリジナルの台本を書き、皆で手話をつけていきます。まず、手話のセリフを、一つ一つ手話に翻訳していきますが、その時点で、元の台本の日本語の語順や文節が、大きく変わってしまいます。ですから、その後、また翻訳された手話に合う、音声のセリフとしての良い日本語を改めて組み立てなおし、舞台を作っていきます。

手話を舞台のセリフとして扱い、それと同時に、音声のセリフも、手話が分からない人のために、しっかりと楽しめる形で作り上げていく。これが、私たちの大事にしていることです。ですから、舞台が完成した時には、元の台本の日本語の形は消え去り、新しい手話とそれに合わせた愛情あふれる日本語の舞台が出来上がっているわけです。

アーツサポ東京
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メンバーは何人くらいで、どのくらいの頻度で稽古をしているのですか?

「きいろぐみ」は公演ごとにプロジェクトを組む形で、作品を作り続けている劇団です。公演によって出演者の数が異なり、10人の時もあれば30人の時もあります。聴こえないメンバーと聴こえるメンバーが常に混在しており、通常、だいたい半々の割合で作品に参加しています。1回の舞台に10人前後のスタッフが舞台裏を支えています。

「きいろぐみ」では毎年、夏の手話ミュージカルで出演者を一般公募しています。これには、関東周辺のほか、秋田や仙台・神戸など各地から申し込みがあり、参加したいという方には全員舞台に立っていただいています。およそ20人から多いときには30人くらいが参加してくれます。多くの人は、ひと夏の熱い経験として申し込んで下さるようですが、その後も長く活動を続けてくれる人は、年に4~5人といったところでしょうか。今年の一般公募では「前からあこがれていたきいろぐみに参加してみたい!」と決心して、大阪から引っ越してきた20代の女性もいました。とてもうれしかったです。

「きいろぐみ」の公用語は日本手話ですので、聴者もコミュニケーションを手話でとれることが、活動の条件になってきます。と言っても、例えばひと夏2~3か月、毎週練習に通ってくれば、向いている人なら、ペラペラと手話で話せるようになる方もいて、励まされます。その後はすべてのステージが手話での取り組みになりますので、聴こえるメンバーは手話へのたゆまぬ努力が必須ですね。(笑)

日頃の活動は、メンバーそれぞれ違い、会社員などとしてフルタイムで働いている人もいますし、「きいろぐみ」の活動をメインにしてアルバイトで収入を補う人もいます。 公演ごとにキャストとスタッフのチームをつくり、週に最低でも2回集まって稽古や打ち合わせなどを繰り返しています。

中嶋

皆で一緒に稽古をするのは週2回でも、その他の日も、個人の稽古は欠かせません。私たちは日常に手話を使って生活していますが、聴者のキャストは、手話も音声のセリフも覚えなければならない分、より苦労が多いと思います。聴こえる人にとっては、手話は第二言語なので、ついていくのは、とても大変だと思います。

蓮子

私は、最初は出演者として「きいろぐみ」の一般公募に参加しましたが、自分にはスタッフが向いていると思い、マネージャーとしてプロデュース会社の手話あいらんどに入り、正社員として仕事をしています。
(今回は、蓮子さんに、インタビューのすべての手話通訳をしていただきました。)

アーツサポ東京
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長く活動してきて、変化を感じる点がありますか?

私たちの手話の舞台には、最初は、手話で話す聴こえない方や、手話に関心のある聴こえる方が、多く来てくださっていましたが、一度来たお客さんが「楽しいから一緒に行こう」と、次は家族や恋人、友達や知り合いを誘ってきてくれるようになり、手話を全く知らない聴こえる人や、もっと手話の作品に触れたいという聴こえない方々の両方で客層が広がりました。当初目指した「ろう者と手話の立場から、多くの聴こえる人にも手話の感動の輪を広げたい」という願いが、少しずつ現実のものになっていくようで、とてもうれしく思っています。

アーツサポ東京
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元美さんは、どのようなきっかけから、「きいろぐみ」に加わったのですか?

中嶋

子どもの頃から難聴だったのですが、小さいころはそれに気づいていませんでした。大きくなって、詳しい検査をした時にわかったのです。ただ、以前から、よく聴こえなくても友だちに合わせて笑ったりして、自分の感情を外に表すことがあまりありませんでした。自分らしさを出すことができなかったのです。高校1年の時に、完全に失聴したのですが、それをきっかけに、手話に出会い、ろう学校に転校もしたことで、むしろ感情を自由に表現できるようになり、解放された思いでした。私にとっては、難聴の頃より今のほうが自由だし、気持ちも楽になりました。

小さい頃からバレエを習っていて、失聴して、もう踊れなくなるのでは?と思った時、母親が「きいろぐみ」の活動を知って勧めてくれたのが、7年前です。それからずっと、「手話パフォーマンスきいろぐみ」が中心の生活です。学校を卒業してからは、「きいろぐみ」の舞台や芸能活動のほか、手話あいらんど(注:「きいろぐみ」のプロデュース会社)での手話講座や、手話パフォーマンス講座の講師もしています。すきま時間でアルバイトもしています。

手話ミュージカルなど「きいろぐみ」の舞台では踊る機会も多いので、バレエの経験がとても役立っていると思います。踊ることは今でも大好きです。でも、手話の歌は、踊りというより言語ですから、振付けを覚えるだけではだめで、手話の正確さというか、言葉としての的確な表現がないと意味が通じません。

アーツサポ東京
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手話の正確さという点をもう少し聞かせてください。

中嶋

この頃、聴こえない人とともに楽しみたいと、手話パフォーマンスをするグループが増えてきました。音声の歌詞に合わせて一つ一つの手話単語を並べただけの手話表現も、たくさん見かけます。でも、実はこれでは、手話が正確に翻訳されていないのです。こうした表現は、てにをはのない日本語の文を聞かされているのと同じで、手話を見ている聴こえない人には、意味が伝わらない。手話には、文法や表現の基本ルールがあるので、それに気を付けて、自然な手話表現をしてもらえたら、もっと素敵な歌になると思います。

手話パフォーマンスや手話の舞台では、ろう者のナチュラルな手話表現を学ばせてもらい、それを生かすことがとても大切だと思います。私たちが日頃、ドラマなどを見たり聞いたりしても、日本語に違和感があれば、ストーリーをシンプルに楽しめなくなってしまいます。それと同じように手話に違和感があれば、手話で作り上げられた作品の魅力は、十分に伝えられなくなってしまいます。心を込めて作品づくりをするということの中には、手話へのしっかりとしたリスペクトも含まれていなければ、本当の意味で、聴こえない人と手を取り合えなくなってしまいますので、その辺は、聴こえる私たちが、日々努力を重ねなければいけない点ですね。

また、ろう者の使う手話は年代や性別でも異なりますし、状況によって変わる部分もたくさんあります。丁寧な表現や、スラングもあります。音声話者の言葉も、同じですよね。私たちは、よく映画やドラマで取り入れられる手話の監修の仕事をいただくのですが、その場合は、登場人物ごとにモデルを置いています。例えば、女子高生のろう者の役なら、同年代のネイティブ手話話者の女の子、耳が聴こえて音声と手話の両方で話す男性の役なら、同年代の手話を学習中の人がモデルをつとめるなどして、ドラマの中でリアリティのある手話が生かされるよう、工夫をしています。

アーツサポ東京
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手話も言語ですから、やはり奥が深いのですね。ところで、元美さんの目標は、何ですか?

中嶋

2020年には東京パラリンピックが日本で開催されるということで、とても楽しみにしています。私も、そうした公式舞台や関連舞台に出演し、堂々と手話パフォーマンスをしたいです。リオのパラリンピック閉会式では、日本からいろんな障害のあるアーティストが登場して、迫力のあるパフォーマンスを演じ、感銘を受けました。私もそのステージに加われたら嬉しいです。

また、2021年・2025年のデフリンピックが、日本でも注目を集めています。手話パフォーマーとして心から応援します。こちらの舞台でも様々な手話パフォーマンスを披露できればと思います。

たくさんのアスリートの皆さんの活躍を、お祈りします。


最新の公演情報などについては、ホームページをご参照ください。

きいろぐみ

http://www.kiirogumi.net/
FAX: 03(3487)0753

第3回 サイン アート プロジェクト.アジアン

2017年10月20日

アーツサポ東京
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「サイン アート プロジェクト.アジアン」のご活動は、どのような経緯で始まったのですか?

大橋

1999年に俳優座の「小さき神のつくりし子ら」という芝居でろう者の女優のオーディションがあって、私が舞台に立つことになりました。実は、私は女優になることを特に夢見ていたわけではないので、この作品だけと思って取り組んだのですが、周りの皆さんはとても熱心にサポートしてくださいました。それで、公演が終わる頃には、せっかく道を作っていただいたのだから続けてみようと思うようになりました。

当時、日本には、ろう者のプロ女優はいませんでした。耳が聴こえないのに音楽に合わせて歌い、踊り、ミュージカルの舞台に立つということが、イメージしにくかったのでしょう。いくつものプロダクションの門戸をたたきましたが、どこも、ろう者の俳優を受け入れたことがないのでやり方がわからないと、受け入れてくれませんでした。

そこで、アメリカに行って、ダンスや演劇の勉強をしました。合わせて2年くらいの期間です。帰国して、入れるところがないのなら自分でプロダクションを立ち上げようと決心して、2005年に、「サイン アート プロジェクト.アジアン(SAP)」をつくったのです。ろう者が主体のミュージカル企画として、日本で一番乗りです。

アーツサポ東京
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12年前のことですね。どんな活動から始めたのですか?

大橋

2006年に自分の半生を描いたオリジナル作品の ”Call Me Hero!”で、旗揚げ公演を行いました。聴こえる人と聴こえない人でキャストを組んだのですが、最初は本当にたいへんでした。聴こえる人はろう者のことがわからない。聴こえない人はダンスの経験が少ないと、人前で踊るのを恥ずかしがる。手話のできない人も多い…。でも、一緒に舞台をつくるのですから話し合わざるを得ません。無理にもやっているうちに、コミュニケーションできるようになって、だんだんと良いチームになりました。

手が雄弁にセリフを語る手話は、踊って歌うミュージカルと相性が合うのです。私自身は、舞台に立ちつつプロデュースや製作、手話歌振付もひとりでやったので、たいへんで、終わった後は頭が真っ白で、もぬけの殻のようになってしまうほどでしたが、でも、中身の濃いミュージカルが出来上がりました。初舞台の日にスタンディング・オヴェイジョンをいただいて、とても驚きました。出演者も皆、感動していました。

アーツサポ東京
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順調なスタートだったわけですね。その後も次々と作品を作ったのですか?

大橋

ミュージカルを作るには、とてもお金がかかります。企画の都度、助成金やスポンサーを探して、それを頼りに作品を作るのですが、だんだんと資金難になって、手話朗読劇など、小規模な活動が続いた時期もあります。

2011年に4年ぶりで作品ができたのですが、上演予定の直前に、東日本大震災が起こりました。いろいろな意見を言う人がいて、こんな時にミュージカルをやっていいのかと私も悩みましたが、三谷幸喜さんと野田秀樹さんが、「劇場の灯を消してはいけない」とメッセージをくださって、勇気づけられました。予定どおり、世田谷パブリックシアターで上演し、大成功を収めることができました。

また、2015年には、原爆当時の広島と長崎を舞台にした「残夏-1945-」を東京、広島、長崎で上演しました。幸い好評でしたし、私たちも手ごたえを感じたので、今年、東京の座・高円寺で再演しました。それをきっかけに劇場から、手の表現のワークショップをやってほしいと依頼があるなど、地域での活動も広がっています。

アーツサポ東京
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そして、いよいよ「夏の夜の夢」へと、つながるのですね。

大橋

はい。1年に2作品の公演をするのは本当に大変なのですが…。

この作品は、2年前にニューヨークのブロードウェイでミュージカルを観た時から温めてきた企画です。ロサンゼルスに拠点を持つDeaf Westという劇団の、”Spring Awaking”という作品です。ロック・ミュージカルの面白さを知り、自分でも作ろうと決めたのです。

演出の野崎美子さんと一緒に企画をつくりキャストを選びました。障害のない人たちはあるていど決まったのですが、障害のあるキャストを探すのには、少し苦労しました。障害のある人が演劇人としてプロを目指すのは簡単でないので、障害のない人に比べてどうしても人材が少ないのです。ダンサーは少しずつ出てきましたが…。レベルで妥協したくないので、慎重に選びました。このミュージカルが、人材が増えるきっかけになると良いと思います。

ひと月後の公演に向けて、いま、毎日のように稽古しています。障害のないキャストは、ダンスや芝居で日頃から身体を使ったコミュニケーションをしているので、手話を覚えるのがとても速いです。一度の作品だけで手話との縁が終わってしまうのはもったいないと思います。聴こえる人と聴こえない人が一緒に作品を作るには、毎回の稽古に、手話通訳者が2~3人は必要なので、演劇のこともわかっている彼らが手話を学んで、舞台稽古で手話通訳ができるようになってくれたらと思います。演劇人のための手話講習を、どこかでやってくれるといいのですが…。

アーツサポ東京
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アメリカで修行したり観劇したりされて、日本との違いを感じますか?

大橋

一番違いを感じるのは、文化です。日本では、有名な俳優や演出家が出るのでないと話題になりませんし、海外で評価されて初めてその作品が注目を集めるといった傾向もあります。アメリカにはそもそも音楽やミュージカルの文化が根付いているので、作品の実力で評価が決まります。批評もしっかりされます。そもそも人と違うことが良しとされる文化も、日本と違います。日本では、どんな演劇やミュージカルも、よほどお金をかけたものでない限り、チケットが完売するほどの観客を集めることも、メディアに取り上げてもらうことも、難しいです。作品の内容には自信があるので、たくさんの人に見てもらえたら嬉しいですが…。

アーツサポ東京
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「サイン アート プロジェクト.アジアン」の今後の計画について、お聞かせください。

大橋

今は「夏の夜の夢」の初演に向けて熱中しているので、まだ具体的な計画はありませんが、来年は充電しながら企画を立てて、再来年に新しい作品を作りたいと考えています。長く続けていくことが大切だと思っているので、特に2020年に向けてという気持ちはありません。将来的に、障害のある人たちで一緒に劇団活動をしていきたいと思っているので、そのための稽古場と使いやすい劇場が、東京オリンピック・パラリンピックの文化プログラムをきっかけに作られたらと、願っています。

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最後に、「夏の夜の夢」の公演に向けて、メッセージをお願いします。

大橋

「人は目で見ず、心で見る」

アンリミテッド×ロックカーニバル「夏の夜の夢」の空間の中で障害のあるなしにかかわらず、隣の人と一緒に笑ったり、ハイタッチしながら、演劇を心から楽しんで頂きたいと思います。その空間作りを、演劇職人である私達がみなさんの心の中までお届けいたします。


最新の公演情報などについては、ホームページをご参照ください。

「サイン アート プロジェクト.アジアン」

http://www.sapazn.jp/
E-mail: info@sapazn.jp
Fax: 03(5378)8026

第2回 演劇結社ばっかりばっかり

2017年10月5日
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どのような経緯で、「ばっかりばっかり」のご活動を始められたのでしょうか。

鈴木

僕がやっていた劇団の稽古場を、視覚障害・全盲の美月が訪れて、役者として参加したいと言い出したのをきっかけに、改称して、芝居の内容も福祉寄りに軌道修正しました。ちょうど10年前のことです。どのような工夫をこらせば、視覚障害者が役者として加わり、また、観客として楽しむこともできるかを、美月の視点をもとに一つずつ試行錯誤で考えているうちに、だんだんとコンセプトと型ができてきました。

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ご活動は、多岐にわたりますね。

美月

はい。私たちは、障害のあるなしにかかわらず、誰にでも楽しんでもらえるエンターテイメントを目指しています。実力のある役者さんに、稽古から本番までの一定期間、時間をつくってもらうのに必要なギャラを支払えるだけの資金を集めるのは簡単ではありません。ですから最近は、芝居より比較的自己資金の掛からない朗読やコンサートなどの機会も増やしています。地方の自治体やグループに呼んでいただくこともありますし、高齢者施設など、様々なところに招かれます。わたしはもともと音楽出身で、作曲もしますし、ラジオパーソナリティの経験などもあるので、個々のニーズにあったコンテンツ制作をするのに役立っているようです。

たとえば、2015年の舞台「悪い人じゃないんだけど」は、もともと5人で演じる1時間のオムニバスコントなのですが、役者とコントの本数を調整したり、私の歌や講演、点字朗読を織り混ぜたりすることで、各イベントに合った出し物に変化させていきました。

昨年は新潟県高等学校総合文化祭ボランティア部門に招かれました。今年も、いろいろなバリエーションで公演しています。

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「ばっかりばっかり」の舞台では、どのような工夫をしていますか?

鈴木

わかりやすい言葉を大切にしています。最近では声優さんですら、正しい話し方ができない人が少なくありません。セリフをゆっくり、はっきり、また強調する言葉をしっかりと発することは、視覚障害のみならず、難聴や精神障害のお客さんの為にもなるはずです。

美月

視覚に障害のあるお客さんのためには、開演前の舞台説明を毎公演で行なっていますし、脚本や演出の時点から、台詞や足音などを工夫しています。たとえば「それ」とか「あそこ」など、目で見ていなければわからないようなセリフは用いず、具体的な言葉に置き換えるようにしています。この工夫により、「ばっかりばっかり」のお芝居には特別に“音声ガイド”は付けていません。私自身、全盲の立場での観劇を通して、生のお芝居は片耳をイヤホンなどで塞がず、両耳で舞台を丸ごと味わえるほうがずっと楽しいと感じていますので、見えないお客さんたちにもそういうお芝居を提供できたらと思っています。…もちろん、映画や他の劇団さんの舞台などでは、私も大いに音声ガイドを活用させていただいていますが。

鈴木

聴覚障害のある人のためには、字幕をつけています。役者の顔の上に、漫画の吹き出しのように字幕を浮かび上がらせ、その吹き出しの枠の色と役者の衣装の色を合わせて、誰のセリフか一目でわかるようにしています。

こうした工夫で、障害のある方も一緒に楽しんでもらえる舞台になるようにしています。「楽しいからまた行きたい」というお客さんが増えていくことが、何よりの目標です

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難しいと感じていることは、ありますか?

鈴木

「ばっかりばっかり」は、外部から一定期間、役者に集まってもらって芝居を作ります。若いお客さんを増やすためにも、若い役者に舞台に立ってほしいのですが、所属事務所が、一定期間の拘束を必要とする舞台をいやがるケースが多いようです。また、アルバイトの口そのものが少ない視覚障害者は、正職についていることがほとんど。芝居作りにかかわるためのまとまった時間を作ることが特に難しいという問題もあります。「芝居をやってみたい」という若い人は少なくないのですが、「いつか芝居で食べられるようになること」を夢見て、訓練を続けていくことができる人は極めて少ないのが実情です。

美月

お陰さまで固定客というか、「ばっかりばっかり」のファンの方は増えてきたのですが、長く続けている間にお客さんがご高齢になられたり、あるいは家族の介護などで、外にでにくくなった方などもおられます。若いお客さんも増えると良いのですが…。

また、これは歓迎すべきことなのですが、最近視覚障害者向けのエンターテイメントが増えてきたので、かえってお客さんが減っているという側面もあるかもしれません。

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「ばっかりばっかり」の展望と今後の計画について、お聞かせください。

美月

配慮が必要なお客さんに対するサポートは、私たち自身の手で、個別に行なっています。アットホームな雰囲気のなかで、一人一人への細やかな気配りを続けていくことを大切にしたいと思っています。その意味では、今の規模を保てた方が良いようにも思います。もちろん、チケットがたくさん売れてお客さんが増えれば嬉しいのですが。

鈴木

プロ劇団として安定し、障害のある役者さんを雇えるようになることも目標ですし、うちが頑張ることによって他の劇団がバリアフリー化を進める一助になれれば。芝居に音声ガイドや字幕、手話通訳がつくことが世間で当たり前になれば、その製作にモニターなどで障害者が携わっていくこともできるでしょう。社会の意識が変わって、職業機会を提供できるようになり、若い障害者演劇人を育てることもできるようになればと願っています。

美月

直近では、11月17日から20日まで、板橋区志村坂上の龍福寺会館で、「悪い人じゃないんだけど…アナザー」の公演を行います。障害者、特に視覚障害者関連のあるあるネタをオムニバスコントに仕上げるシリーズの新作です。悪気はないって判るからこそ困ってしまうとんちんかんな配慮など、笑いながら気づいてもらえる、障害のある人とない人との架け橋的な作品になる予定ですので、どうぞご期待ください!

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最後に、「ばっかりばっかり」の活動に興味を持つ人々に、メッセージをお願いします。

鈴木

まずは、僕たちの舞台をご観劇ください。どんな障害をお持ちの方にも、障害のない方にも、できるだけ色々な皆さんに楽しんでいただけるよう日々工夫しておりますので、それを体験しがてら作品をお楽しみいただけたら嬉しいです。

美月

それと、障害の種別や有無にかかわらず、役者として、スタッフとして、私たちの劇団で一緒に活動していただけたら嬉しいですね。仲間、大募集中です!


最新の公演情報などについては、ホームページをご参照ください。

「演劇結社ばっかりばっかり」

http://www.bakkaribakkari.net/
TEL: 090-3818-6424(10時から18時)
E-mail: otegami@bakkaribakkari.net

第1回 NPO法人アンハードノート・ピアノパラ委員会

2017年9月21日

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「ピアノパラ」のご活動には、20年近い歩みがあるそうですね。どのような経緯で、活動を始められたのでしょうか。

迫田

大学で教えた卒業生から、ピアノ教師として、視覚障害のある生徒さんの指導について相談を受けたことをきっかけに、ピアノの道を志す障害者の支援について考えるようになりました。指導者が技術指導にとどまらず、障害について十分な知識を持って臨むことが何より重要と考え、生活全般について学び合う研究会を医学者や指導者と結成して、ともに勉強しました。障害のある音大学生が就職先探しに苦労していたので、自分たちで音楽教室を開くよう後押しし、定期演奏会の開催を手助けしたこともありました。

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こうしたご経験を経て、「ピアノパラ」の第1回大会が開催されたのですね。

迫田

そうです。質の高い演奏の、国際的なコンサートにしたいと、2005年に第1回国際ピアノパラリンピックを、横浜で開催しました。海外を含め14カ国から、94名が出場しました。

音楽家仲間、海外の友人・門下生らが出場者集めに奔走し、また審査員を務めてくれました。音楽雑誌や福祉関係の媒体などで広報し、観客を集めました。ソロプチミスト、ライオンズクラブなどの協力にも、大いに助けられました。

大会の課題曲は、「さくら さくら」でした。国内の出場者はみな、原曲のイメージを崩さない静かなメロディーを奏でるなか、中国の男性が機関銃のような激しい演奏をして会場を驚かせました。国際大会にしたことで多様性がより豊かになったと思います。大会が大きな話題になったので、出場者に自信がつき、さらに努力しようという意欲につながりました。海外からの出場者は特に練習を重ねて良い演奏を聴かせたので、国内出場者にも刺激となったようです。

親戚から反対され消極的な気持ちで子どもを出場させたという親御さんは、大舞台での演奏に気持ちを高揚させ、早くも次回の出場へと意気込む子どもの姿を見て、出場させて良かったと深く息をついていました。

大会の様子が新聞でも報じられたので、その後、ピアノを始めたいという相談が全国から多く寄せられるようになりました。各地に散らばる音楽家仲間を通じて、ひとりひとりに指導者を仲介し、スムーズに指導が受けられるようサポートしました。

この大会に出場者・観客として訪れる障害者のために、横浜市がボランティア・グループを育成してくれたことは、大きな助けでした。サッカーのワールドカップでボランティア活動に参加した人々を集め、車いすの押し方、白杖の人のガイドの仕方などの事前トレーニングを重ねてくれたのです。大会の当日には、横浜駅から会場のみなとみらいまで、街頭にずらりとボランティアが並んでくれ、本当に心強く感じました。横浜市はさらに、障害者のガイドのためのパンフレットも作成してくれました。今から12年前のことです。画期的なことだったと思います。

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第2回、第3回大会は、海外で開催されたのですね。

迫田

「ピアノパラ」は、パラリンピックと同じように、4年に一度、世界中のいずれかの都市で、開催されます。

第2回は2009年に、カナダのバンクーバーで、12カ国から76名の出場者を迎えて実施しました。車いすユーザーのバンクーバー市長が最初に大きな理解を示してくださったことも功を奏して、大学と市内の楽器店が全面的に協力してくれ、初めての海外での大会もスムーズに運営することができました。バンクーバーの街には車いすを始め障害者の姿が多くみられ、ストリートパフォーマーもいれば、健常者相手に派手なケンカをしている人もいます。街の人々が障害者に対してとても親切なので、感心しました。大会にも多数の障害者が観客として足を運んでくれました。

第3回は2013年に、オーストリアのウィーンで開催しました。東欧をはじめヨーロッパからの出場が多く、19カ国の48名が、ウィーン最古の教会で、ミサの日などをはさんで3日にわたり演奏しました。この大会の課題曲は、ヨーロッパ統合のシンボルともされるベートーベン交響曲第9番の「歓喜の歌」のテーマでした。いろいろな文化の人々が集まって、いろいろな演奏をし合い聴き合うことの喜びを、深く感じましたが、特にドイツの少女の独創性あふれる演奏は、感動的でした。

私は、出場者の演奏に優劣をつけることには抵抗を感じるのですが、“賞”はマスコミに受け、受賞者のその後の活躍に直結します。それで、ウィーン大会では初めて、金賞、銀賞、銅賞を授与しました。入賞者は自国で注目を浴び、ギャラのとれる演奏家になることもできます。その点で、当初から意図してきた、実力がすべてのピアノの世界に入る道筋をつけることができたわけで、自立生活の実現にもつなげられたと考えています。

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「ピアノパラ」の活動を通じて、どのようなことを感じ、考えてこられましたか。

迫田

すべての障害種別の人々が、それぞれの能力を活かして、それぞれの方法でのピアノ演奏を披露する場とすることを、初回からずっと意図してきました。聴覚障害者は、はだしでペダルを踏んで振動で音とリズムをキャッチする驚くべき能力を持つこと、弱視の人は光るものへの集中力がとても高いので、この特性を練習に取り入れることで効果を上げられること、また、知的障害のある人もそれぞれの性質・行動特性を理解できれば指導や対処に活かせることなど、障害種別に関する特色もわかってきました。

ピアノは、実力のみで勝負できる世界です。指導者の(自己流でなく)正確な知識に基づく指導と、良質な発表の場(会場、ピアノ、観客など)の二つが、とても重要な要素です。優れた教師はまるでマジシャンのように、隠れていた才能を引き出し、無二の魅力として開花させることができます。

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「ピアノパラ」のめざすものは、何でしょうか。

迫田

有名なピアニストを育て、その人がビルを建てるほどにピアノで稼ぐようになることが、私の夢です。実力だけで勝負することのできるピアノは、そのための道具です。「本物」でさえあれば、誰もが実力で勝負できるのです。

日本には、八橋検校や、宮城検校と呼ばれる宮城道雄をはじめとして、視覚障害者の伝統音楽の歴史があります。実力さえあれば、障害の有無など無関係に尊敬するのは、日本人の良さだと思います。それが難しい国もあることを知っているからです。

今の時代は国際的に認められることが重要なので、どんなジャンルの芸術も発展のためには、普遍性を持つことが不可欠だと思います。日本の伝統音楽・芸能も、世界の人々に受け入れられ、質の高さを認められていくよう、伝統芸術の本質を守りながらも、新しいアイディアで開拓していくと良いと思います。

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今後の展開について、お聞かせください。

迫田

2018年4月に、アメリカの首都ワシントンで、第4回大会を開催します。すでに出場が内定している日本代表の紹介と、新たな出場者を決める選考会を兼ね合わせて、11月29日に神奈川県相模原市の相模女子大グリーンホールで、演奏会を開催します。

今回ももちろん、すべての障害種別の人に出場してもらいます。障害から生まれた独創的な演奏を評価したいと思います。ピアノソロの他、本人が中心となるアンサンブルや、弾き語りでも良いですし、演奏ジャンルは自由です。ただ、趣味としての演奏でなく、プロを目指す人を歓迎します。多くの方々に出場いただき、また演奏をお聴きいただきたいと思います。

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最後に、芸術文化活動を始めてみたいと思う障害のある人々に、メッセージをお願いします。

迫田

ピアノは、どんな障害を持つ人もそれぞれのやり方で演奏し、楽しむことのできる楽器です。ある時、看護師さんに求められて病院に出向き、手足を動かすことができず酸素吸入器をつけてベッドに横たわるお子さんに、ピアニカに息を吹き込んでもらったことがあります。自分の吹いた息で奏でられるメロディーを聴いて、とても嬉しそうな表情を見せてくれました。子どもの生きる力になりましたと、ご家族にも喜んでいただけました。サポーターの力、そして技術の力を借りながら、どんな方にも何らかの方法でピアノを演奏する喜びを味わってほしいと考えています。ピアノを弾いてみたいという方、あるいは演奏を聴いてみたいという方は、是非「ピアノパラ」にご連絡ください。

NPO法人アンハードノート・ピアノパラ委員会

http://www.cipfd.com/jpn/index.html
TEL: 090-8940-3496
FAX: 03-6760-4042

相談対応

さまざまなご質問やご相談に応じています。

ダンスのレッスンに参加したい
舞台で音楽を奏でたい
手話で演劇をしてみたい
展覧会に作品を出品したい
――など表現活動に関すること

音声ガイド付きで映画を観たい
手話や字幕ガイド付きの演劇を観たい
視覚障がいの子どもたちが美術作品を鑑賞できる機会をつくりたい
――など鑑賞に関すること

公演や展示会を企画してみたい
アトリエ活動を始めたい
催しものに障がいのある子どもたちを招きたい
障がいのある人々に向けた舞台作品を作りたい
――など企画運営に関すること

どんなご質問・ご相談も、歓迎します。

日本ろう者劇団のプロ俳優として豊富な経験を持つ複数の相談員がご質問・ご相談をお待ちしています。

アーツサポ東京で直接にお応えできないご質問・ご相談には各分野の外部専門家のご協力を得つつお応えします。

メール、電話、またはファックスで、お気軽にご連絡ください。

社会福祉法人トット基金 アーツサポ東京
〒141-0033 東京都品川区西品川2-2-16 トット文化館 2F

TEL: 03-3779-0233(平日9:00~17:00)
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